最近の邦楽を聴いていると、
「いいんだけど、なんか〇〇の曲に似てるよな~。声までそっくりじゃん」みたいに感じることがよくあります。
否定的な話では全くないですが、少なくとも僕がそういう音楽に深くハマることはありません。一時的によく聴くことはあるとしても、それが長く続くことはないです。
では、どういうシンガーに深くハマってしまうのか。それは、
特徴ある歌声や歌唱が素晴らしい「これぞオンリーワン!」なボーカリストです。もちろん曲が良くなければ聴くことはないので、楽曲も含めての素晴らしさですね。
あくまでも “私的な感覚” でそう感じたアーティストになりますが、
・唯一無二の “個性的でクセになる歌声” をもっている
・好きになり過ぎて、1週間以上その人の曲しか聴けなかったことがある
この2点だけの基準を設けて選んでみました。
特に2つ目の理由は、日々いろいろな音楽を聴いている僕からすると、かなり稀な行動と言えますね。それだけハマりっぷりが凄かったということです。
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二井原 実
日本を代表するヘヴィメタルバンド『ラウドネス』のボーカリストとして、世界中のメタルファンを熱狂させてきた二井原実(愛称:ニィやん)。
驚異的なハイトーンの歌声からはシンガーとしての実力と貫禄が溢れ出ているが、いかんせんその“声質”に苦手意識を持ってしまう人も少なくないのではないだろうか。
現に僕の周りでは、ラウドネスの曲自体はカッコいいと思っても、ボーカルの声が苦手であまり聴かないという人が多かった。(そもそもHR/HMを聴かない人からすれば知る術もないが…)
かくいう僕も、ラウドネスのファンになった最初の理由は完全に高崎晃(G)のギタープレイであり、ニィやんの歌の素晴らしさに気付くまでには相当な時間を要している。今でこそニィやんの大ファンだと胸を張って言えるが、自身の過去を振り返れば苦手な人の気持ちもわからなくはないのだ。
結局は好みの問題という身も蓋もない話になってしまうが、二井原実の歌声に感じる魅力の一つに「エモ」があることだけはお伝えしておきたい。これはバラードソングにおいて特に顕著で、もともと高音な声域からさらに透明感を増すファルセットには、琴線に触れる美しさが見えてくる。
たとえば、ラウドネスがアメリカ進出を果たした5thアルバム『THUNDER IN THE EAST』収録の「NEVER CHANGE YOUR MIND」は、ニィやんの歌の上手さと美しいファルセットを体験するのに最適なバラードの名曲だ。
ハードなナンバーで魅せるロックシンガーとしての頼もしさと、バラードソングで魅せるエモーショナルな歌声。
聴き込むほどに好きになったこの歌声は、クセになるほどの魅力に包まれている。
ヴォイスインパクト | |
中毒性 |
Pickup Album 『ONE』
ラウドネスの作品を聴けば(二井原実がボーカルじゃない時期もある)ニィやんがどんなシンガーなのかはすぐにわかるが、ヘヴィメタルを聴かない人にラウドネス推しをするのは少々無理がある。そこで強力におすすめしたいのが、この1stソロアルバムだ。
とても聴きやすいハードロック作になっていて、ニィやんのエモさとソウルフルな歌声までを堪能できる隠れた名盤。とにかくいい曲だらけなので、多くのロックファンに聴いて欲しい最高な一枚。
忌野清志郎
日本を代表するロックシンガーかつソウルシンガーであった忌野清志郎。他とは一線を画する唯一無二の歌声と歌唱、楽曲の数々には誰にも到達できない世界があった。
一聴して清志郎だとわかる声には、 “歌” を超えて強く感情を揺さぶられる多くの感動があったし、ここまでオリジナリティあるシンガーなんてなかなかいるものではない。
注目したいのはその歌声だけにあらず。RCサクセションをはじめソロやその他名義の活動においても、心に響くメッセージを仕込ませた歌詞も本当に素晴らしいと思う。
ノリのいいロックンロールから涙を誘うバラードまで、なぜかこの人の歌には温もりがある。優しさがあふれてる。神々しさを感じる瞬間がある。
清志郎はいなくなってしまったが、最後に観た武道館ライブでの楽しさと感動はいつまでも忘れない。本当に素晴らしいシンガーだった。
ヴォイスインパクト | |
中毒性 |
Pickup Song 『世界中の人に自慢したいよ』
Pickup Album 『RHAPSODY NAKED』
「King of Rock」「King of Live」の異名を持つ清志郎の凄さを体験できる、会場の熱気も最高潮なライブ盤。選曲も最高で、痛快なロックンロールから入魂のバラードまでを余すことなく収録している。
このライブ盤は『RHAPSODY』に9曲を追加した完全版としてリリースされたが、手に取るなら絶対にこちらだろう。涙腺崩壊レベルに胸熱で感動的な名曲『指輪をはめたい』を聴くためだけにでも、手にする価値が大アリな作品だ。
ギター好きなら小川銀次(G)のプレイも必聴で、すべてが奇跡的な記録になっている。
浅井健一
ブランキー・ジェット・シティ。日本から生まれた最高峰の3ピースバンドであり、その核となっていたのは浅井健一(ベンジー)のソングライティング、ギタープレイ、そして繊細さと凶暴さが背中合わせになった歌声にあったと思う。
ブランキーにとどまらず、シャーベッツやユダ、ソロ名義での活動でも孤高な存在感を放ち続け、日本のロックシーンにおいて常に目が離せない存在だ。
バンドのカッコ良さとは別の話だが、ベンジーの歌声に対する好き嫌いはよく耳にする。所詮は好みの問題なのでそこをとやかくいうつもりはないが、大ファンの僕からすれば否定派の気持ちを理解することは不可能に近い。
囁くようにこぼれる声と言葉は胸の奥まで入り込み、感情を爆発させるかのようなロックをかき鳴らせば、至高の世界を体験させてくれる。高めな声質の歌声には永遠の少年らしさを感じるが、鳴らしている音がカッコ良すぎてそのギャップに心底ヤラれてしまう。
ボーカリストとしても素晴らしい人であるが、ギタリストとしての才能がこれまたぶっ飛んでいて最高。そういえば、UAと組んだ『AJICO』もカッコ良かったな~。
日本のロックを聴くなら絶対に押さえておくべき人だと思うよ、ホントに。
ヴォイスインパクト | |
中毒性 |
Pickup Song 『COWBOY』
Pickup Album 『SIBERIAN MADNESS』
全キャリアでの作品数が多すぎて、もはや選別不能。どの時代のバンド名義でもベンジーという存在に何一つ変わりはない。強いて言えばシャーベッツの世界観が特に好きなので、このベスト盤を挙げておこう。
ファンであればオリジナルアルバムを聴き込むべきだが、ベンジーをこれから知る人にこそおすすめしたい、静と動が絡み合うオリエンタルなロックの世界。
『わらのバッグ』とか『夢見るストロベリー』とかヤバいね、ホント(泣)。
https://triggerbrook.com/j-rock-collabo/
長澤知之
福岡県出身のシンガーソングライターで、ソロ以外でも『AL』というバンドで活動している長澤知之。誰もが知るメジャーな存在とは言えないかも知れないが、その声に対するインパクトはとても大きく、埋もれてしまうには惜し過ぎる名曲をたくさん持っている。
当ブログでも以前に紹介したことがあるので、ご存知ない方は是非そちらの記事を読んでいただきたいが、個性的な声や歌唱には耳を奪われ、ソングライティングの素晴らしさには心を奪われる。
余談だが、大ファンである僕でさえ “聴けない” 曲がいくつかあって、その強烈過ぎる個性に拒絶反応を示してしまうのだ。それくらいこの人の音楽性は幅が広く、そして濃い。
クセ(アク)が強いだけに苦手な人もいるだろう。しかし名曲と呼べるものを量産し、一度でもハマれば中毒性がともなう最高な音を鳴らしているのが、天才アーティスト「長澤知之」だ。
ヴォイスインパクト | |
中毒性 |
Pickup Song 『明日のラストナイト』
Pickup Album 『Archives #1』
近年に出会った邦楽アーティストの中で、最もハマった長澤知之。知らない人が手っ取り早く楽しむならまずはこれ。音楽の素晴らしさをあらためて教えてくれる最高なベスト盤だ。
岡村靖幸
日本のミュージックシーンにおいて「King of Pop」な存在であり、今回紹介している中でも極めてアクの強い存在が岡村靖幸だろう。某有名ホストの言葉を借りれば「岡村か、岡村以外か」のような表現がピタリと当てはまるほどに、誰にもマネのできない岡村ワールドを創り上げてきた。
ロックやポップス、ファンクからR&Bまでを盛り込んだ音楽性の幅は広く、キャッチーなメロディから泣きメロが涙腺を刺激するミディアムソングまで、本当に音楽的才能に尽きない人だ。熱狂的なファンが多いことは当然のことなんだと思う。
そして、そのすべての表現に欠かせない武器としてこの人の歌声とキャラがある。あまりにも個性が強いため好き嫌いが生じてしまうのは仕方がない。しかし、岡村靖幸が作り出す音楽の良さには絶対に触れておくべき価値がある。
名曲を挙げればキリがないが、たとえば『カルアミルク』『友人のふり』『イケナイコトカイ』『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』あたりだけを聴いても、岡村靖幸と言う才人の音楽に、心が震えることかと思う。
何度となく聴いてきたせいか、今ではたまに聴く程度になってしまったが、無性にこの歌声を求めることがあるんだよなぁ。
これからもずっと、岡村ワールドの住人なんだと思う。
ヴォイスインパクト | |
中毒性 |
Pickup Song 『彼氏になって優しくなって』
Pickup Album 『家庭教師』
既に名盤として名高い4thアルバム。代表曲の一部『カルアミルク』『あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう』収録。
ファンには堪らないほど最高なアルバムだが、M4「家庭教師」のような曲に嫌悪感を示す人は多いはず。しかし、曲後半の長い語り(ヤバ過ぎて最高)にこそ岡村靖幸のセンスと個性があるわけで、こんなの普通じゃ絶対にできないよ。
すべての作詞、作曲、アレンジは岡村靖幸自身によるもの。
キレッキレの天才なんだな、この人は。 最高。
まとめ
・二井原実
・忌野清志郎
・浅井健一
・長澤知之
・岡村靖幸
尾崎世界観(クリープハイプ)や佐藤伸治(フィッシュマンズ)、ベテランで言えば桑田佳祐なども個性的な歌声に魅力を感じるボーカリストですが、今回は “クセになるほどハマった5人のボーカリスト” を厳選して紹介してみました。
未聴のアーティストがいた方は、ぜひ聴いてみてくださいね。
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