日常の音楽ライフの中で、女性ボーカルのロックバンドを聴くことが圧倒的に少ない筆者です。そこに特別な理由などなく、ただ単に男が歌うロックバンドをたまたま多く聴いているというだけ。
しかし、女性ボーカルのロックバンドっていざハマると深度がとても深く、女性ならではの詩世界や歌唱、何より男性ボーカルでは到底味わうことができない胸の高鳴りを感じることが往々にしてあります。
女性ボーカルでしか成し得ない素晴らしきロックアルバム。
ここでは無数にある作品の中から、自信を持っておすすめする10枚のアルバムを紹介したいと思います!
羊文学 『若者たちへ』
塩塚モエカ(Vo, Gt)、ゆりか(B)、フクダヒロア(Dr)からなる3ピースのロックバンド。結成当初は5人だったが、2017年から現在の体制で活動している。
ハイトーンや裏声に透明感がある塩塚モエカの歌声は、聴くものを夢中にさせる。感情を爆発させるようなタイプではないが、静かにエモいスタイルが聴いていてとても心地いい。
その歌唱からは女性らしさを、ギタープレイやサウンドからは男性っぽさを感じる楽曲が多く、実はもう一人ギタリストが存在するのではないかと思ってしまう。バンドの演奏はシンプルながらもかなり好みでカッコいい。
シングルヒットを生み出して人気に火が点くようなバンドではないかも知れないが、アルバム通して聴き込みたくなる上質なバンドだと思う。このアルバムには心の底から感動した。
これからの活動も、とても楽しみなバンドの一つだ。
ヨルシカ 『エルマ』
しっとりと聴かせる曲からアップテンポのナンバーまで、この人ほど感情の表現が素晴らしいシンガーは他になかなか思い浮かばない。
ヨルシカは何よりも楽曲の良さやギタープレイに魅力を感じているが、仮にsuis以外のボーカルでこのバンドが始動していたら、ここまでこのバンドを好きになることはなかったかも知れない。
ヨルシカの音楽とsuisの声。とんでもなく素敵なバンドだと思っている。

Drop’s 『Drop’s』
ボーカルの中野ミホがTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTやThe Birthdayのファンだと公言していることからもわかるように、直系とも言える熱いガレージ・ロックを聴くことができる。
若さゆえの勢いと荒々しさは文句なしにシビれるし、バンドが鳴らしている音だって早熟すぎないか??これは。酒やけしたような渋みのある歌声を聴いていると、10代(しかも女の子)だとは、にわかには信じられない、ホントに。
後半で2曲続く、しっとりと聴かせるミディアムナンバーでこのバンドの素晴らしさを確信した。メジャー後でもいい曲はたくさんあるが、この頃が一番素敵だったかなぁ。
若者からオッサンまで、ロックが好きなら是非とも聴いてもらいたい一枚。
きのこ帝国 『タイム・ラプス』
全ての楽曲の作詞作曲をしているのは佐藤千亜妃(Vo.G)で、ギター担当のあーちゃんも女性のため、男性陣はリズム隊としてバンドを支えている格好になる。“歌”を大切にしたバンド演奏・アレンジにもセンスの良さがキラリと光り、いいバンドだなぁとしみじみ思う。
このバンドを知ったきっかけはシングル『東京』と言う名曲だったが、そこから数年経ってリリースされた今作の中には、さらに珠玉な曲が散りばめられていた。
オープニング『WHY』で高らかに鳴らすロックサウンド、続く『&』のサビメロのキュートさに心を掴まれ、このアルバムの世界にどっぷりと浸かっていく。アルバム中ちょっと毛色が違う『タイトロープ』のギターソロなんてサウンドも含めて最高にカッコいいな。
このバンドが作る音楽をもっと聴いてみたい。活動再開を願うばかりだ。
GO!GO!7188 『竜舌蘭』
「和」や「艶」を感じさせる独特な歌唱には好みが割れると思うが、聴き込むほどに深みにハマる中毒性があるし、ヘヴィでソリッドなバンドサウンドも相当カッコいい。ゾクゾクするような演奏を聴かせてくれる最高なバンドだ。
このアルバムが本当に大好きなわけだが、このバンドの音楽を言葉で伝えるのはなかなかに難しい。ただ一つ言うなら、収録された楽曲はどの曲でもシングルに成り得るし、どの曲でもシングルにはならないということ。
何のこっちゃかも知れないが、要は1曲が看板になるような音楽ではないし、1曲で判断するようなバンドではない。好みは人それぞれだが、どの曲にも絶妙な隠し味が練り込まれている。
幅広い音楽ファンに聴いてほしい、オリジナリティあふれる稀有なロックアルバム。
yonige 『健全な社会』
2ndアルバムの今作では、1stで見せていたようなアップテンポかつキャッチーなナンバーは影を潜め、基本的にはスローな楽曲ばかり。演奏もシンプルに削ぎ落とされた分、歌がよりストレートに響きわたってくる作品だ。
1stにあったような楽曲を期待して聴けば肩透かしを食らうが、これはこれで素晴らしいアルバムだと思う。サウンドには隙間と言うか音を抑えた空間が増え、言葉とメロディの浸透ぶりが明らかに違う。
これこそが本質なのかどうかは分かり兼ねるが、サウンドや歌声はより自然体なのでないかと感じる。
ゆったりと聴き込みたい、静かに沁み入る素敵なアルバムだと思う。
赤い公園 『純情ランドセル』
3枚目となる今作は、様々な表情を見せる楽曲で構成しバラエティに富んだアルバムになっている。歌謡曲のようなものからピチカート・ファイブ風な楽曲、カッコいいロック・サウンドまでがズラリと並び、音楽的な引き出しの多さには驚くばかり。
ソングライター兼ギタリスト、津野米咲という圧倒的な才能。
彼女がいなくなってしまった事実は今でも受け入れ難いが、素晴らしい音楽はこうしてずっと残っていくんだな。
GLIM SPANKY 『SUNRISE JOURNEY』
とかく注目されてきたのはハスキーなフロントマン・松尾レミだとは思うが、亀本氏の存在もかなり大きい。ちょっとしたフレーズや音使いの中に胸熱なプレイがぎっしり詰まっている。才能ある二人が一緒に音楽をやっているわけだから、悪いわけがない。
文句なしのロックナンバー『サンライズジャーニー』、琴線に響くミディアムソング『夜が明けたら』、映画「リアル鬼ごっこ」のイメージソング『リアル鬼ごっこ』、そして、永遠に輝き続ける至高の名曲『大人になったら』。
この辺りの曲を軸に、アルバムの完成度はとてつもなく高い。
ロック好きなら絶対必聴、そうでない人も聴いてみるべき大名盤。
ポルカドットスティングレイ 『全知全能』
楽器の特性上、ぶっ飛んでるギタープレイ(特にカッティング)がやはり目立っているが、リズム隊だって相当テクニカルなことをやっているんだと思う。ライブとか行ったら凄く盛り上がりそうだ。
ノリがいいアップテンポな曲もしっとり聴かせるバラードも、雫の歌唱は本当にグッとくるし何と言っても声がいい。また、楽器をやる人だったらこのバンドの演奏を聴いているだけでも楽しめるはず。シングル『テレキャスター・ストライプ』を初めて聴いたときはちょっと興奮してしまった。やっぱりバンドって、楽器が上手い方が聴く方も熱くなるよね。
曲もいいし、すべてにおいて実力派。このバンドはいろいろ凄いな…。
noodles 『Metaltic Nocturne』
さて、アメリカツアーの経験もあるヌードルスの今作。知らずに聴けば日本人とは思えないサウンドや歌(多くは英語詞)だが、後半では日本語で歌う曲が並ぶ。
アルバム通してポップでセンチメタルな楽曲ばかりで、衰えを知らないソングライティングにただただ脱帽。本当に全曲素晴らしいロックナンバーで、胸がトキめく思いだ。あえて私的ハイライトを挙げるなら『Twins Tree』か。涙腺を刺激するサビのメロディラインがたまらなく好き。
こういう人たちを日本人離れしてるって言うんだろうね。センスの良さがキラキラ光る、瑞々しい名盤。
まとめ
・羊文学『若者たちへ』
・ヨルシカ 『エルマ』
・Drop’s 『Drop’s』
・きのこ帝国 『タイム・ラプス』
・GO!GO!7188 『竜舌蘭』
・yonige 『健全な社会』
・赤い公園 『純情ランドセル』
・GLIM SPANKY 『SUNRISE JOURNEY』
・ポルカドットスティングレイ 『全知全能』
・noodles 『Metaltic Nocturne』
以上、女性ボーカルのロックバンドから選んだ10枚のおすすめアルバムでした。
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