音楽の趣味って年齢を重ねるごとに変わったり広がったりしていくので、総じて聴くジャンルも増えていきますよね?
若い頃はアイドルや流行りの音楽から聴き始め、ロックやヒップホップ、R&Bやソウルなどなど、自分好みのあらゆるジャンルに興味が広がっていくと思います。
そしていつの日か辿り着く、もしくは永遠に辿り着かない“遅めのジャンル“の中にジャズ、フュージョンなどは含まれるのではないでしょうか。
そうなんです。僕の音楽の趣味は幅広いんですが、フュージョンやジャズに辿り着くまではとても長かったし、すごく遅かったです…。
だけど、いざこの類のジャンルを聴きその良さを知ってしまうと、ただただ「もっと早く聴いておくべきだった」という思いに駆られるんですよね。
今回は「フュージョン、ジャズ」をあまり聴いたことがない方に、フュージョン・ジャズ界の定番アーティストやバンドを中心にご紹介したいと思います。
この手のジャンルは圧倒的にインスト曲が多いので「歌がないのはちょっと…」と敬遠してしまう方もいるでしょう。
しかし!
歌ものにはない良さがあることも知ってほしいですね。ちなみにインストバンドの演奏は基本的にレベル(演奏技術)が超高いため、曲の聴き方、楽しみ方も変わってくると思いますよ。
ぜひ、チェックしてみてくださいね!
日本のフュージョン
カシオペア (Casiopea)
1977年結成、1979年にレコードデビューした日本を代表するフュージョンバンド。
メンバーチェンジや活動休止もありながら常にギター、ベース、キーボード、ドラムの4人編成で活動中。2023年現在のメンバーは野呂一生(ギター)、鳴瀬喜博(ベース)、大高清美(キーボード)、今井義頼(ドラム)で、CASIOPEA-P4(カシオペア・ピーフォー)名義になっています。
「朝焼け」「ドミノ・ライン」「スペース・ロード」「ブラック・ジョーク」「テイク・ミー」などの代表曲をはじめ多くの人気曲があり、メロディアスでダイナミックなハイテク演奏には度肝を抜かれること必至なスーパーバンドです。
まずは聴くべきおすすめアルバムは『ミント・ジャムス(Mint Jams)』
1982年発表。ホールでライヴ録音した音源にスタジオ・ワークを加えて制作した作品。フュージョンのカッコ良さを知るために激推しする文句なしの名盤。
T-SQUARE(ティー・スクェア)
1976年から活動を始め1978年にデビューした日本が誇るインストゥルメンタルバンドで、1988年頃までは「THE SQUARE(ザ・スクェア)」というバンド名で活動。
テレビやラジオ番組のテーマ曲、CMなどのタイアップ曲は数知れず、たとえT-SQUAREの音楽を意識して聴いたことがなくても絶対に耳にしたことはあるはず。なかでもF1グランプリのテーマ曲になった「TRUTH」はバンドを代表するヒット曲で、誰もが一度は聴いたことがあるのではないでしょうか。
長い活動歴の中とにかく多作で、カッコいい楽曲にいくらでも出会える素晴らしきインストバンドですね。
まずは聴くべきおすすめアルバムは『ニュース(NEW-S)』
渡辺香津美
1971年に17歳という若さで衝撃的なデビューを果たした天才ジャズギタリスト。
坂本龍一、矢野顕子、村上秀一らとの「KYLYN BAND(キリンバンド)」やイエロー・マジック・オーケストラ(YMO)のワールドツアーにサポート・ギタリストとして参加、他にも世界的なミュージシャンとの共演経歴が多数あり、ギタリストとして最高峰の実力を持つ存在ですね。
楽曲を形づくるその表現力と驚異的なテクニックは、聴くもの観るものを圧倒し「世界の香津美」としてワールドワイドに活躍しています。
まずは聴くべきおすすめアルバムは『ロンサム・キャット(LONESOME CAT)』
世界トップレベルのバンドアンサンブルを存分に楽しむことが出来る、胸熱な作品ですね。
高中正義
1971年デビュー。当時まだ高校生だったということも驚異的ながら、デビュー以来ずっと日本のロック、フュージョン界の第一線で活躍し続けている日本を代表するギタリスト。
フライド・エッグやサディスティック・ミカ・バンドでの活動、スタジオ・ミュージシャンとしての活躍もありますが、やはりソロ・アーティストとして発表している数々の楽曲にギタリスト、音楽家としての素晴らしい才能を見せつけられますね。
ロック、フュージョン系のインスト音楽を聴く上で、絶対に避けては通れないスーパー・ギタリストの一人です。
まずは聴くべきおすすめアルバムは『ジョリー・ジャイブ(JOLLY JIVE)』
1979年に発表した5枚目のオリジナルアルバム。ブレイクのきっかけともなった名曲『BLUE LAGOON』収録。
南国にいるかのような極上のリゾートサウンドは、癒しの音楽としても最適ですね。心地よいインストナンバーあり、歌ものありで聴きやすい作品なので、まずはおススメしたい1枚です。
大村憲司
1971年から音楽活動を始めたギタリストで、その2年前となる1969年にはヤマハ・ライト・ミュージック・コンテストのロック部門で優勝しています。
フォークグループ『赤い鳥』への参加や村上秀一らと『エントランス』を結成するなど活動の幅を広げていったのち、1980年にはYMOのサポート・ギタリストとして国内およびワールドツアーに同行。セッションギタリストとしても数多くの楽曲に参加しています。
若くして亡くなってしまったことは本当に残念ですが、素晴らしいテクニックと才能で彩られた数々の楽曲は永遠に不滅です。
まずは聴きたいおすすめアルバムは『ケンジ・ショック(KENJI SHOCK)』
歌ものもありますが、声を発さなくともギターという楽器をここまで歌わすことができるのは、類まれな才能あってこそ。大村憲司の作品としてはもちろん、フュージョンに興味を持ったら聴いてみるべきマストアイテムの一つですね。
PRISM
1975年結成のフュージョンバンド。超絶ギタリストの和田アキラとベーシストである渡辺建を中心に始動。j-FUSIONの草分け的存在であり、素晴らしき楽曲群と超ハイレベルな次元の演奏は、永遠に語り継がれるべきバンドですね。
筆者は完全なる後追いリスナーですが、当時の日本にこんなに上手いバンドが存在していたことがとても衝撃的でかなりハマりましたね。
とにもかくにも和田さんのギターが凄すぎて最高!
まずは聴きたいおすすめアルバムは『プリズム(PRISM)』
テクニカルな演奏に耳がいきがちですが、楽曲自体が素晴らしくインスト作品としてここまで粒ぞろいの作品にはなかなか出会えませんよ。
本記事を執筆時点で46年も前の作品になるわけでですが…。神がかってますね、このアルバムは。
RX
錚々たるメンツが参加していることでも話題になったフュージョンバンド。
聖飢魔Ⅱの構成員だったライデン湯沢(Dr)とゼノン石川(B)を中心に結成。和田アキラ、渡辺香津美、本多俊之ほか豪華すぎるゲスト参加も注目を浴びる中、オリコンチャートでは最高14位。インスト作品としては異例のヒットを飛ばしました。
楽曲のカッコ良さは言わずもがな、各パートのテクニカルな応酬は聴きごたえ充分ですよ。
まずは聴くべきおすすめアルバムは『ケミカル・リアクション(CHEMICAL REACTION)』
参加メンバーが凄腕揃いなだけに、あえて耳を傾けないと日常では決して出会えない音楽の世界に惹き込まれますね。
フュージョンやジャズに限らず、テクニカルな演奏が好きな人なら興奮必至の好盤です。
海外のフュージョン
ラリー・カールトン(Larry Carlton)
1968年にレコードデビューしたジャズ、フュージョン界のレジェンド・ギタリスト。この類のジャンルの中で、まずは聴くべきアーティストの一人ですね。
これまでに4度のグラミー賞に輝いていることからも音楽家としての実力は計り知れません。(2010年にはB’zのギタリスト松本孝弘との共作『TAKE YOUR PICK』をリリース。翌年の第53回グラミー賞で最優秀インストゥルメンタル・ポップ・アルバム賞を受賞!)
卓越したギターテクニックと歌心あるメロディセンス、感動的なまでの表現力の素晴らしさは多くのファンを虜にしています。
まずは聴くべきおすすめアルバムは『夜の彷徨(原題:Larry Carlton)』
ザ・クルセイダーズ(The Crusaders)
1961年に『ジャズ・クルセイダーズ』としてメジャー・デビュー。トロンボーンとテナーサックスという管楽器やエレクトリック・ピアノ、ゲスト・ベーシストを迎えたリズム隊によってお洒落サウンドを構築。結成初期から準メンバーとしてラリー・カールトンも参加していました。(1976年に脱退)
その後、1971年にグループ名を『ザ・クルセイダーズ』としてアルバムを発表。フュージョン・グループへと変化していきます。
サウンドの特徴としては、いわゆるフュージョンというよりファンクやソウルの要素が色濃い。フュージョンというと超絶技巧なプレイスタイルを想像しがちですが、クルセイダーズはちょっと違うタイプのグループで(もちろん技巧派ですが)、バンド・アンサンブルの心地良さでカラダを揺らしてくれます。
まずは聴くべきおすすめアルバムは『クルセイダーズ 1(Crusaders 1)』
スタッフ(Stuff)
アメリカのフュージョン・バンド。ベース、キーボード以外はギターが2人、ドラムが2人という6人編成で1970年代後半から1980年代前半頃まで活動。
ニューヨークを中心に活動していた腕利きのスタジオ・ミュージシャンが集まったバンドで、ハイレベル、ハイセンス、ハイクオリティなアンサンブルを楽しむことができます。
とにかく楽曲が良く聴きやすいので、フュージョンの入口としてもおすすめなバンドです。
まずは聴くべきおすすめアルバムは『モア・スタッフ(More Stuff)』
いつの時代に聴いても古臭くなく色褪せない、ずっとそばに置いておきたい1枚ですね。
パット・メセニー・グループ(Pat Metheny Group)
ギタリストでリーダーのパット・メセニーを中心としたジャズ・フュージョン・バンドです。技巧派ギタリストですが、13歳から独学でギターを始め18歳という若さでバークリー音楽院の講師を努めたという経歴があります。
ソロでキャリアをスタートさせ1977年にパット・メセニー・グループを結成。ブラジル音楽に興味があり、そうした音楽的要素を取り入れた作品も次々とヒットを生み出しています。
グラミー賞を20回受賞という輝かしい経歴もある、世界最高峰のギタリストの一人。
まずは聴くべきおすすめアルバムは『スティル・ライフ(Still Life(Talking))』
アルバム通して魅力に尽きない楽曲が散りばめられていて、中でも「ラスト・トレイン・ホーム」は必聴の名曲。私的に大好きな曲で胸が熱くなりますね。
リー・リトナー(Lee Ritenour)
1970年代前半より活動しているアメリカ出身のジャズ・ギタリスト。ウエス・モンゴメリーに大きく影響されギターの腕を磨き、またブラジル音楽からの影響も受けていて作品に取り入れることも多いです。
20歳ごろからスタジオ・ミュージシャンとして頭角を現し、1970年代半ばに結成した「ジェントル・ソウツ」で1976年に1stアルバムをリリース。続く1977年には初期の代表作「Captain Fingers」をリリース。
ジャズの要素にロックやソウルフィーリングを吹き込み、多くのミュージシャンに影響を与えてきたギタリストです。
まずは聴くべきおすすめアルバムは『キャプテン・フィンガーズ(Captain Fingers)』
スティービー・ワンダー作「Isn’t She Lovely」のカバーも収録。
ウェザー・リポート(Weather Report)
1970年に結成。エレクトリック系サウンドが特徴的なジャズ、フュージョン・グループ。
活動初期は主にジャズよりでアコースティックなサウンドでしたが、徐々にエレクトリック・サウンドへシフトしシンセサイザーも多く導入するようになりました。1976年にジャコ・パストリアス(B)が加入し、ここからの数年間(1980年発表の「ナイト・パッセージ」まで)が黄金期と言われています。
感動と興奮を体感できる、エレクトリック・ジャズの代名詞的グループです。
まずは聴くべきおすすめアルバムは『へヴィー・ウェザー(Heavy Weather)』
まとめ
ふだんロックやポップスを中心に聴いていると、ジャズやフュージョンってちょっと敷居が高いというか興味の対象外になりがちです。
でも、いざ足を踏み入れると、今までにない音楽体験が出来るというか、どっぷりハマる“ツボ”がいたるところにあるんですよね。
聴いてみて合わなければ仕方なし、しかし聴かずにずっとスルーしているとしたら本当にもったいないジャンルだと思いますよ。
今回ご紹介したバンド、アーティストはごくごく一部。
この記事をきっかけにジャズ&フュージョンに興味を持っていただけたら幸いです!
・カシオペア『ミント・ジャムス(Mint Jams)』
・T-SQUARE『ニュース(NEW-S)』
・渡辺香津美『ロンサム・キャット(LONESOME CAT)』
・高中正義『ジョリー・ジャイブ(JOLLY JIVE)』
・大村憲司『ケンジ・ショック(KENJI SHOCK)』
・PRISM『プリズム(PRISM)』
・RX『ケミカル・リアクション(CHEMICAL REACTION)』
・ラリー・カールトン『夜の彷徨(原題:Larry Carlton)』
・ザ・クルセイダーズ『クルセイダーズ 1(Crusaders 1)』
・スタッフ『モア・スタッフ(More Stuff)』
・パット・メセニー『スティル・ライフ(Still Life(Talking))』
・リー・リトナー『キャプテン・フィンガーズ(Captain Fingers)』
・ウェザー・リポート『へヴィー・ウェザー(Heavy Weather)』
フュージョン初心者におすすめするアーティスト&アルバム特集でした。