オアシス(Oasis)
かつて、オアシスほど新作が待ち遠しいバンドはいなかった。
サブスクなどで音楽を手軽に聴くことができなかった時代、ニューアルバムのリリース情報が流れれば、指折り数えて心待ちにしていた。発売日には店頭へとかけ込み、特設コーナーに山積みされた中からそそくさと一枚のCDを抜き出し、興奮気味に家路を急いだものだ。
そして、夢中になって聴く。
懐かしい。あそこまでの感覚は久しく味わっていない。
自分の中では特別なバンドだったんだなと、つくづく思う。
ざっくりオアシスの概要
2021年の時点で、全世界でのトータルセールスが7500万枚以上という、途方もない売り上げを誇るモンスターバンド、オアシス。
バンドの歴史やギャラガー兄弟の幾多とあるエピソード、その他のあらゆる情報に関してはすでに出尽くしているためここでは割愛させていただきますが、オアシスについてちょっとだけ触れておきますね。
メンバー(最終)
リアム・ギャラガー/1972年9月21日生 ボーカル
ノエル・ギャラガー/1967年5月29日生 リードギター、ボーカル
ゲム・アーチャー(元ヘヴィ・ステレオ)/1966年12月7日生 リズムギター、キーボード
アンディ・ベル(元ライド、ハリケーン♯1)/1970年8月11日生 ベース
クリス・シャーロック/1964年5月30日生 ドラムス
メンバー(旧)
アラン・ホワイト/1972年5月26日生 ドラムス
ポール・”ボーンヘッド”・アーサーズ/リズムギター、キーボード
ポール・”ギグジー”・マッギーガン/1971年5月9日生 ベース
トニー・マッキャロル/1970年8月11日生 ベース
1991年に結成したイギリスの国民的ロックバンド。90年代に沸き起こったブリットポップムーブメントを象徴するバンドの一つです。
ビートルズへの敬愛を公言しており、オアシスの楽曲を聴けばいたるところでその影響を窺い知ることができます。
しかし、ビートルズにも引けをとらないセンスある楽曲の数々にロックファンは熱狂し、そして短期間で世界的なロックバンドにまで昇りつめたのは、もはや必然だったと言えるほどの実力を持つバンドです。
音楽以外の特徴としては、ギャラガー兄弟が発する様々な発言や動向、兄弟喧嘩なども常に注目され、話題性には事欠かないバンドだったという一面もありますね。
2009年、メインソングライターのノエル・ギャラガーが脱退を表明。
事実上、解散。
その後、兄ノエルは「Noel Gallagher’s High Flying Birds」、弟リアムは残ったメンバーと「ビーディ・アイ」を結成~解散後、ソロアーティストとして活動中。
オアシスの魅力
ざっくりと紹介したところで、ここからは私的に感じているオアシスの魅力を挙げてみます。
ギャラガー兄弟
悪ガキだけど憎めないフロントマン『リアム・ギャラガー(弟)』、ズバ抜けた音楽センスで名曲を量産するソングライター『ノエル・ギャラガー(兄)』。
すべてはこの兄弟の話になってしまいますが…。
タイプは違いますが二人とも型破りな人物で、他バンドに対する暴言は当たり前、バンド存続が危ぶまれるほどの兄弟喧嘩も当たり前。好き勝手にやりたい放題やっていました。
しかし、そうしたヤンチャな部分も含めて愛されたのがギャラガー兄弟であり、オアシスというバンドから目が離せない魅力の一つだったのだと思います。
リアムと言えば、世界中のファンを虜にしたカリスマ的なボーカリストであり、モデル並みのルックスも併せ持つ紛れもないロックスター。
ライブでは観客を睨みつけるように歌い、タンバリン片手にオーディエンスを煽る姿は最高にイカしてます。そして、ノエルの陰になりがちなソングライターとしての才能も実は素晴らしいものを持っています。
一方のノエルは、トラブルメイカーでありながらも音楽に対してのプロ意識は非常に高く、ロックの世界において史上最高峰のソングライターと言っても過言ではありません。
ギタリストとしてのセンスも素晴らしく、小手先のテクニック抜きに聴かせる名フレーズの数々は、多くのフォロワーを生み出しました。
生き方やルックスも含めてこんなにクソカッコイイ兄弟は、世界中を見渡してもなかなかいないのではないでしょうか。
ソング
オアシス最大の魅力は何と言っても楽曲にあります。
1stアルバム『オアシス(原題:Definitely Maybe』を聴いてみると、デビュー作におけるインパクトで言えば、他に思い浮かぶロックバンドは私的にガンズ・アンド・ローゼスくらいです。
初期の名曲『リブ・フォーエバー』を始め、ロックンロールからバラードまでがバランスよく配されたこの作品は、世界中のロックファンに対する挨拶代わりの一枚目として、強烈なインパクトを放っていました。
続く2ndアルバム『モーニング・グローリー』。
この作品でオアシスは一気に世界の頂点へ。
以降の活躍は言うまでもなく、数々の名曲を送り出しその人気を不動のものにしました。
そんな世界的な成功を収めた原動力の核となっていたのは、ノエル・ギャラガーが書く曲の素晴らしさだったことは間違いありません。
どれだけフロントマンとしてのリアムが凄くても、楽曲が良くなければここまでの成功はなかったはずです。
ギタリストとしても素晴らしい才人、ノエル・ギャラガー。
この人なくしてオアシスは成り立たない…かな。
アートワーク
オアシスのアルバムジャケットは洒落てます。
サブスクで音楽を聴くことが主流になった現在、アルバムを部屋に飾ることが減っているかも知れませんが、一昔前はインテリアの一部としてお気に入りのアルバムジャケットを飾っていた人は多いはず。
オアシスのアルバムジャケットは、飾ってもインテリアになるようなアートワークが多かった。
アートワークに対するこだわりもオアシスの魅力の一つでした。
オアシスの名曲。あえて選ぶならこの10曲
選んだ曲はほとんどがミディアムナンバーやバラードです。オアシスはアップテンポなロックンロールももちろんカッコいいですが、メロディアスなバラードにこそ惹かれます。
地球上には無数のバンドやミュージシャンが存在しますが、多くのソングライターが “一生のうちに1曲書けるかどうかの名曲” を何曲も量産したオアシスはやはり凄い。
ソングライティングの多くは兄ノエルによるものですが、その音楽的才能は天井知らずで、Noel Gallagher’s High Flying Birdsでも存分に発揮していますね。
それでは、オアシスを聴く上で欠かせない名曲を紹介していきましょう!
-Roll With It-
1995年発表の7thシングル。ブリットポップ全盛期「ブラーvsオアシス」の同日発売でも話題になった曲。オアシスらしい痛快なロックナンバー。
-The Masterplan-
シングル『ワンダーウォール』のB面に収録された、ノエルが歌うミディアムナンバー。こんな名曲をB面として発表するオアシスはやはり格が違う。
-Slide Away-
1stアルバム『オアシス(原題:Definitely Maybe)』収録。哀愁感じるメロディに切なさを覚えるミディアムロック。特にサビメロが素晴らしく、リアムの熱唱には泣けてくる。
–Don’t Look Back In Anger–
2ndアルバム『モーニング・グローリー』収録。後からシングルカットもされている。ライブでは会場中が一つになって大合唱が沸き起こる、オアシスを代表する大名曲。
–Champagne Supernova–
この曲も2ndアルバム収録。ゆったりとした曲調ながら、だんだんと熱を帯びていく展開が最高にかっこいい。終盤で聴ける荒々しいギタープレイにも胸が熱くなる。
–Mucky Fingers–
6thアルバム『ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース』収録。UKバンドらしい正統派なロックンロールで、伸びのあるノエルの歌声が気持ちいい。
–All Around The World–
3rdアルバム『ビィ・ヒア・ナウ』収録。ストリングスも取り入れたバンドサウンドはオアシスの新境地でもあった。9分を超える大作ながら長さは微塵も感じず、感動的な名曲だ。
–Don’t Go Away–
3rdアルバム収録。先に挙げた『Slide Away』同様、リアムの切ない歌声とメロディが胸に響きわたり心をとらえて離さない。
–Let There Be Love–
6thアルバム『ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース』収録。後期オアシスの中では特に好きな曲で、ギャラガー兄弟がともにボーカルをとる神ソング。
–Stand By Me–
3rdアルバム『ビィ・ヒア・ナウ』収録。ギターのフィードバックで始まる泣きメロだらけの号泣ソング。オアシスのバラード曲を代表するマスターピースな名曲。
オアシスの名盤。あえて選ぶならこの一枚
3rd Album Be Here Now
オアシスの名盤といえば2ndアルバム『モーニング・グローリー』を挙げる人が圧倒的に多いです。空前の大ヒットになった歴史的名盤であることは紛れもない事実であり、ハイクオリティな楽曲と、当時の勢いまでをも内包した素晴らしい作品だったことに違いはありません。
しかし、3rdアルバム『ビイ・ヒア・ナウ』を初めて聴いたときの感動と興奮は、個人的に2ndを上回っていました。
先行シングル「D’You Know What I Mean?」で幕を開ける今作。ノイジーなギターサウンドとリアムのふてぶてしい歌唱が印象的なミディアム・ロックナンバー。
続く「MY BIG MOUTH」もラウドなサウンドで攻め立てますが、3曲目「MAGIC PIE」あたりからオアシスらしいメロディが聴こえ始めます。
以降も緩急ある楽曲がバランスよく配され、先に紹介した「Stand By Me」「Don’t Go Away」「All Around The World」のような美しくメロディアスなミディアムナンバーは、どれもが胸を熱くする珠玉の名曲。
疾走感あふれる爽快なロックンロール「I HOPE, I THINK, I KNOW」もアルバム中でいいアクセントになっていますね。ライブで演れば盛り上がること間違いなしです。
-I HOPE, I THINK, I KNOW-
言ってしまえば、3rdアルバムまでは文句なしにどのアルバムも好き。
中でも「これぞオアシス!」なメロディとロックサウンドを凝縮した『ビイ・ヒア・ナウ』を神盤だと思っています。
オアシス初心者に勧めるのであれば、絶対にこのアルバムを推しますね、僕は。
やっぱり願うのは、オアシス再結成
2021年現在、ギャラガー兄弟はそれぞれが順調に活動を続けています。
それはそれでいいのかも知れない。音楽性の方向は少し違いますが、二人とも自分がやりたいことをやりたいようにやっている。兄弟が一緒に活動しなくても、互いに素敵な曲を作り続けています。
これはオアシス以前に、音楽ファンとして純粋に喜ぶべきことなんだと思います。
でも、どこかで期待してしまうんですよね、もう一度オアシスとして活動することを…。
たとえどんなに今が素晴らしくても、期待してしまうのは再結成です。
なぜなら、世界で一番かっこいいロックバンドになるから。
実現すれば、どんなタイミングでも音楽業界最大のビッグニュースになると思うし、世界中で待ちわびてきたオアシスファンは、歓喜の涙を流すかも知れない。
そして、ニュー・アルバムのリリース情報が流れた時。
僕は20年以上前のあの頃と同じように、指折り数えながらその日を心待ちにするんだろうな。興奮度MAXで。
いつの日か実現することを願ってます☆