インストゥルメンタル(インスト)は歌のない楽曲・演奏のことですが、僕はインスト音楽が好きで非常によく聴いています。主に聴いているのはギターインストですが、
というわけで、ギターインストの中からおすすめしたい楽曲やアルバム、アーティストを紹介したいと思います!(僕の嗜好からHR/HMよりが多いです)
インストは曲のすべてを楽器だけで作り出すため、演奏技術や表現力・センスがないと成り立ちません。いわばプレイヤーの真骨頂を見ることができるわけですね。
でも、やたらテクニックを前面に出すだけで音楽的につまらなかったり、感動的な瞬間がないインストを聴いているのはときに苦痛でもあります。(個人の主観ですが…)
聴きたいのはテクニックだけでじゃなく、メロディがある音楽なので。
ギターインストの名演・名曲
まずは、数ある曲の中から記憶に残る名演・名曲の一部を紹介します。
最初はヴァン・ヘイレンの『イラプション』。インストというよりも完全にギターソロなので、ギターが好き、もしくはプレイヤーでない限り興味外だとは思う。でも、インパクトや当時の影響力は絶大で、ギターインストを聴くなら外せない一曲。とにかくかっこいい。
この『イラプション』に対する日本人からのアンサーソング的な曲で言えば、ラウドネス・高崎晃の『エクスプローダー』もかなり強烈なプレイを聴くことができます。さすが世界中で名の知れているギタリストだけあって、その超絶技巧には驚くばかり。
さて、インパクトで言えばスティーヴィー・レイ・ボーンの『スカットル・バッティン』も最高な一曲。わずか2分弱の曲に詰め込んだロック&ブルース・フィーリングの衝撃と言ったらない。こちらも必聴の名演と言えますね。
挙げ始めたらキリがないですが、テクニカルなプレイが炸裂する有名曲で言えば、ドッケン(ジョージ・リンチ)の『ミスター・スケアリー』やイングヴェイ・マルムスティーンの『ファー・ビヨンド・ザ・サン』、『トリロジー・スーツOP:5』、クリス・インペリテリ『17th センチュリー・チキン・ピッキン』辺りも熱い。この辺は完全にメタルで、速弾き好きにはたまらないはず。
あとはポール・ギルバートの『ゲット・アウト・オブ・マイ・ヤード』なんかは笑ってしまうほど強烈なプレイに出会えますよ。もうね、わけわからんって感じ(笑)。
Pickup ドッケン『ミスター・スケアリー』
僕がギターインストをアルバム単位で聴くきっかけになったのは、なんと言ってもマーティ・フリードマンの作品に出会ったからです。
例えばジョー・サトリアーニやスティーヴ・ヴァイでも楽曲単位ではカッコ良くて気に入る曲もあるにはある。曲によってはもはやアートで、ギターで表現できる音楽の可能性は無限なんだということを感じさせてくれるあたり、ホントに凄い。
Pickup スティーヴ・ヴァイ『ウィスパリング・ア・プレイヤー』
でもアルバムを通して聴けるインスト・アルバムは、マーティを聴くまではなかった。単純に好みの話かも知れないですが…。
マーティのプレイはテクニックもハンパないですけど、何と言ってもメロディの良さが際立っているんです。この人は歌ものバンドでのプレイよりも断然にインスト作の方が好き。
Pickup マーティ・フリードマン『サンダー・マーチ』
Pickup マーティ・フリードマン『エンジェル』
メロディが美しいギターインストを聴いていると、ときに歌ものを大きく超える感動に出会えることがありますが、マーティの作品にはそんな曲がとても多い。
公式音源しか貼りませんが、気になったら是非マーティの世界にもっと触れてほしいです。
ギターインストの素晴らしさに、きっと出会えるはずなので。
さて、ここからは歌ものアルバムに入っているインスト曲の中からいくつかピックアップしたいと思います。
まずはリッチー・ブラックモア。アルバム中にちょいちょい挿入してくるインストが何気にかっこいい。レインボーの7th『ストリート・オブ・ドリームス』 (原題:Bent Out of Shape)収録の『エニバディ・ゼア』の哀愁漂う泣きのギターや、5th『アイ・サレンダー』 (原題:Difficult to Cure)収録の『治療不可』などはリッチーのセンスが炸裂するインスト曲を堪能できます。
Pickup レインボー『エニイバディ・ゼア』
続いてはマイケル・シェンカー。この人はバンドだとボーカルにも恵まれていると思っていて、UFOでもマイケル・シェンカー・グループでも、本当に曲がいいんだよなぁ。
そして、インストで有名なのがマイケル・シェンカー・グループ『神(帰ってきたフライング・アロウ)』 (原題:THE MICHAEL SCHENKER GROUP)収録の『イントゥ・ジ・アリーナ』や4th『限りなき戦い』 (原題:BUILT TO DESTROY)収録の『キャプテン・ネモ』と言った曲。
マイケル・シェンカーのキャリアの中で決して外すことができないギターインストの名曲と言えます。
そしてそして、ゲイリー・ムーア! 8th『ワイルド・フロンティア』収録の『ザ・ローナー』で聴ける泣きのギターの美しさ。哀愁たっぷりなメロディは胸の奥まで響き渡りますね。渋い。公式音源が見当たらないので、激ウマ女性ギタリストで雰囲気をお楽しみください。(すごいな…この人)
Pickup ゲイリー・ムーア『ザ・ローナー』
あ!思い出しました。エクストリームの1stに収録されている『ロック・ア・バイ・バイ』。前半には歌が入っているので純粋なインストとは違いますが、後半からのインスト部分はヌーノ・ベッテンコートの魂のフレーズを聴くことができますよ。泣きメロが最高。
Pickup エクストリーム『ロック・ア・バイ・バイ』
エレキ・サウンドばかりを挙げてますが、アコギでの名演も忘れちゃいけないですね。
レッド・ツェッペリンの1st『レッド・ツェッペリン I』 (原題:LED ZEPPELIN)収録の『ブラック・マウンテン・サイド』の心地良さ、オジー・オズボーンの1st『ブリザード・オブ・オズ』収録で、ランディ・ローズの小曲『ディー』なんかも胸に沁みる名曲です。
そして、例えばブラック・レーベル・ソサイアティの1st『ソニック・ブリュー』収録『T.A.Z.』におけるザック・ワイルドの変態的な超絶プレイなんて、アコースティック・ギターの概念をひっくり返してるんじゃないか…?
Pickup ブラック・レーベル・ソサイアティ『T.A.Z.』
歌ものバンド作品の中で、インスト曲をまぜるのって結構チャレンジだと思うんです。
インストに興味がない人なんていくらでもいますからね。でも、インストでしか味わうことのできない感動や興奮もあるので、インスト好きな僕からすれば嬉しい限りです。
日本人ギタリストの作品
海外アーティストばかりを紹介してきたので、ここからは日本人ギタリストを紹介していきます!
ちなみにインストの世界において言えば、日本人ギタリストの実力は相当なもの。テクニックだけに走ることなく、メロディを大切にしているアーティストが多い印象がありますね。
素晴らしい曲が多すぎてキリがないので、特に印象に残る曲を挙げてみます!
まずはシャム・シェイド・DAITAの凄さを思い知る『ソロモンズ・シール』。変拍子から始まるメロディアスで爽快なロック・ナンバーが超絶カッコイイ。展開が激しい曲ながら美メロが胸に残る名曲です。
続いて日本が誇るギタリスト、布袋寅泰とCharによる『ステレオキャスター』も忘れられない名演です。音楽性が違う二人の熱きギター・バトルは奇跡とも言える出会いだった。いつ聴いても超カッコイイですね、この曲は。
そういえば、横山健の『オーバー・ザ・レインボウ』のカバーもかなり素敵なインストです。原曲に忠実ながら、ところどころでちょっとした速弾きやオカズ的なフレーズを盛り込んでくる辺り流石ですね。健さんは本当にうまい。ギターを弾く人なら、こんなアレンジで気持ちよく弾きたいと思うことでしょう。
最後はアルバム単位でおすすめしたいギタリストをピックアップ!
まずは松本孝弘。HR/HMからポップス、ブルース、フュージョンに至るまで音楽性の幅が広く、どれか一曲をおすすめするような人ではない。B’zでのプレイも素晴らしいですが、ソロ作でこそ、この人の真髄を見ることができると思います。別記事で書いてますので、ぜひチェックしてみてください。
続いてはTUBEのギタリスト、春畑道哉。TUBEでもかなりエモいプレイを聴かせてくれますが、ソロワークではスーパー・ギタリストとしての本領をまざまざと見せつけてくれます。テクニックが凄いだけではなく、メロディ・メイカーとしての才能も素晴らしいですね。ギターインストを聴くなら避けては通れない“道”のような存在と言えます。
Pickup 春畑道哉『JAGUAR ’13』
あともう一人、絶対に忘れてはいけないアーティストが山本恭司。VOWWOWやWILD FLAGでのヘヴィなイメージが強いかも知れないですが、ソロワークでは桃源郷のような世界を創り上げています。アルバムによって作風は変わりますが、ギターインストを聴くなら知らずにいるのは損だと言える“カルディ”のような存在と言えます。
他に挙げるなら小川銀次(クロスウインド)、今剛、高中正義あたりも素晴らしいインスト・ミュージックを聴くことができますよ。未聴の方はぜひチェックしてみてください。
日本人ギタリスト、センスもテクニックも最高です。
ギターインスト 初心者におすすめしたい8枚のアルバム
01. マーティ・フリードマン『ラウド・スピーカー』
攻撃的なメタル・サウンドから琴線に触れるメロディアスな泣きのギタープレイまで散りばめた、ギターインスト作品の手本のようなアルバム。少なくとも僕は、この作品を聴いてインストの世界にどっぷりとハマった。ポップな曲が多く、インスト初心者にもおすすめ。
02. スーパー・ギター・ディズニー
名だたるギタリストがディズニー・ソングを愛あるアレンジでカバーした、ロックファンからディズニーファンまでが楽しめる良質な企画盤。
オープニングを飾るザック・ワイルド『美女と野獣』、2番手ポール・ギルバートの『アンダー・ザ・シー』のプレイを聴くだけで、この企画の素晴らしさを実感できると思います。
松本孝弘、マイク・オーランド、オリアンティ、ジョージ・リンチ、リッチー・コッツェン、ジェフ・ワトソンetc。
ギター好きにはおいし過ぎる好企画盤ですね。
03. 山本恭司『ザ・ライフ・アルバム』
映像作品を観ているかのようなコンセプト・アルバム。オープニング『デイブレイク』での夜明けを想起させるエモーショナルな泣きのプレイでいきなり心を掴まれる。静と動がバランスよく配され、インストながら飽きることなく聴くことができます。私的ハイライトはラストを飾る『ヘブンリー』。超名曲ですよ、これは。
04. キコ・ルーレイロ『ウニヴェルソ・インヴェルソ』
ヘヴィ・メタル・バンド『アングラ』在籍時からテクニカルでメロディアスなプレイが凄まじかったキコ・ルーレイロの1stアルバム。HR/HMを期待して聴けば肩透かしを食らうようなブラジリアン・ジャズ・アルバムですが、ヘヴィメタ・バンドでは聴くことができなかった新たな一面には驚いたものです。BGMとしてもおすすめな良盤。
05. 春畑道哉『ベスト・ワークス 1987-2008 ~ROUTE86~』
2008年までのソロ・ワークのベスト盤。春畑道哉のソロ活動を手っ取り早く「知る・楽しむ」には最高なベストアルバム。
これを聴いて何も響かなければ根本的に合わないんでしょうね、きっと。しかし、この作品を聴いて感じるものがあるのなら、オリジナルアルバムまで聴いてみることがおすすめ。春畑道哉の音世界は幅が広くて深いです。
06. ジェフ・ベック『ブロウ・バイ・ブロウ』
あまりにも有名な作品なので、好き嫌いとか興味があるないは置いておき、ギターインストを知るなら絶対に聴いておくべき名盤。この金字塔を前にヘタな感想はない方がいいのかも知れない。
未聴の方は是非、あなたのその耳で歴史的な作品に触れてみて欲しいです。
07. クロスウインド『ライブ・アンノウン・デイズ』
今は亡き小川銀次氏のバンド『クロスウインド』。そもそも小川銀次の存在を知ったのはRCサクセションのライブアルバム『ラプソディ・ネイキッド』で、この作品のラストに収録されている“指輪をはめたい”でのギタープレイにはえらく感動したことを覚えています。
和製ジェフ・ベックとも言える変幻自在なプレイ・スタイルやトーン、情熱的な楽曲からは、音楽に対する愛情が溢れていて万華鏡のようにカラフル。なかでも涙腺にくる『みのむし』は必聴の名演。この曲を同じようにカバーできる人はいないと思いますね。
08. イングヴェイ・マルムスティーン『ライジング・フォース』
80年代の速弾き戦国時代、ネオ・クラシカル・スタイルでシーンの度肝を抜いたスーパー・ギタリストのイングヴェイ。スティーラー~アルカトラスを経て1984年にリリースした1stアルバムがこれ。 当時まだ21歳! マジか~。いまだに信じられない。
代表曲を含む今作の出来は素晴らしく、ギタープレイの世界を変えたと言っても過言ではありません。まさに歴史的金字塔。これは聴かないとアカンやつですな。ちなみに2曲が歌入りで大半がインスト曲になってます。
若き偉大な作曲家はギターがとてつもなく上手かった。ただただ凄いっす。