近年で言えばBABYMETALの世界的な活躍もあって、HR/HMのようなジャンルでも幅広い層に受け入れられるようになったのかな?と思ったりもしますが、BABYMETALはアイドル的な要素が強く、特異な例に過ぎないよね~というのが本音です。
そもそもハードロックやヘヴィメタル(HR/HM)は、誰もが夢中になれるような音楽とは違います。この手のジャンルが大好物な僕からすれば残念なかぎりですが…。
・興味がない
・うるさい
・ダサい
苦手な人からすればそうかも知れないですね。
でも、個人的にはHR/HMほど夢中で聴ける音楽はないです。もうね、ただただ単純にカッコイイ。
そんな僕は16歳でラウドネスに出会ったことをきっかけに、あらゆるHR/HMバンドを聴いてきました。
そんな音楽歴をあらためて振り返ってみると、この手のジャンルが激熱だったと感じるのは断然に80年代後半~90年代です。
世界中から素晴らしいバンドが出現し、テクニカルなギタープレイの戦国時代でもありました。
ちなみに、HR/HMというジャンルは細かく枝わかれし過ぎているので、的確に分類することは非常に困難です。どんなバンドがハードロックでどこからがヘヴィメタルだなんて、確実に決められる根拠がまずない。
そんなジャンルではありますが、今回は「HR/HMを聴いてみたいけど、何から聴けばいいのか分からない!」といった、ビギナーの方に向けたアルバムを紹介したいと思います。
個人的に聴きまくった思い入れのある作品の中から、比較的聴きやすいものを中心に、鉄板とも言えるアルバムを選びました。
※公式音源があるおすすめな曲は動画を貼って紹介しています。貼っていなくても気になるアルバムがあれば、ぜひチェックしてみてくださいね。
ジューダス・プリースト 『ペインキラー』
1990年発表。「メタル・ゴッド」ロブ・ハルフォード率いるジューダス・プリーストの12作目。
強烈なインパクトのアルバムジャケットからして、ただものではないことは容易に想像できるだろう。
そして、この作品はメタルを聴く上で絶対に避けては通れない、ジューダス史上でも屈指の名盤となっている。
メタルに耳慣れないビギナーの方には少々ハードルが高いかも知れないが、逆にこれを聴くことができたなら、一気にメタルサウンドへの道は広がる。
メタル界以外ではあり得ない強烈な歌声で襲いかかるロブ・ハルフォード、これぞメタル!な高速ツインギターが縦横無尽に駆け巡る完璧なメタル・アンサンブル。
のっけのタイトル曲『ペインキラー』から脳天を直撃する最高な一枚となっている。
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ギターテク |
メガデス 『ラスト・イン・ピース』
1990年発表の4thアルバム。メガデスの頭脳デイブ・ムステインが構築するスラッシュメタルの世界を、最高な形で支えたのがいぶし銀のギタリスト、マーティ・フリードマンだ。
そんな彼の存在や功績がデカすぎる、バンド史上の最高傑作。
複雑なリズムで目まぐるしく展開する曲構成や、攻撃的なリフの応酬に打ちのめされること必至。はっきり言おう。このアルバムはヤバい。
特筆すべきは完全なるメタルサウンドなのに、ドラマティックかつ哀愁を漂わせるメロディアスなギタープレイが全編にわたって散りばめられていること。
中でも『トルネード・オブ・ソウルズ』のギターソロなんて涙腺崩壊レベルにカッコいい。
スラッシュメタルを芸術的なレベルにまで押し上げた、金字塔と呼ぶにふさわしい作品。
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聴きやすさ | |
ギターテク |
アグリー・キッド・ジョー 『アメリカズ・リースト・ウォンテッド』
1992年発表の1stフルアルバム。位置づけとしてはメタル色が強いアメリカン・ハードロックといった感じで、先に紹介した2バンドに比べればグッと聴きやすいと思う。
大ヒットした『Everything About You』や心に沁みるバラード曲『Busy Bee』のような曲もあり、激しいメタルソングからパーティー・ロック、はたまたファンクやブルージーなプレイまでもガッツリと楽しめる、バラエティに富んだ作品だ。
かなり好きなバンドだったが、急激に失速してしまったのが残念でならない(涙)。
絶頂期の勢いまでをもパッケージしたこの作品の完成度はとても高く、HR/HMに耳慣れないビギナーにこそ聴いてほしいアルバム。
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破壊力 | |
聴きやすさ | |
ギターテク |
ガンズ・アンド・ローゼス 『アペタイト・フォー・ディストラクション』
1987年に発表した最高すぎるデビューアルバム。ロックバンドのデビュー作で、ここまで楽曲が粒ぞろいかつ完成度が高い作品はそうそうない。
「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」「パラダイス・シティ」「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」といったガンズを代表するナンバーをはじめ、ハードロックの素晴らしさを教えてくれる楽曲だらけで埋めつくされている。
スラッシュ(G)のプレイ・スタイルもあるせいか、ガンズをヘヴィメタルだとは思ってないが、アクセル・ローズ(Vo)の超個性的な歌声や歌唱法がときに強烈なメタル臭を発している。それがまた超絶カッコいい…。
全世界で売れまくったハードロック史上最重要作品の1つなので、こればかりは必ず聴いておくべきアルバムだと思う。
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聴きやすさ | |
ギターテク |
イングヴェイ・マルムスティーン 『オデッセイ』
クラシック・スタイルをロックギターに盛り込み、ネオクラシカルメタルの絶対的王者として君臨するギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーンの才能にひれ伏す1988年発表の4thアルバム。
これを聴いた当時、その驚異的なプレイの数々をにわかには信じられなかった。弾けもしないスコアを買い、ひたすら楽曲を聴きながらTAB譜を目で追っていたのが懐かしい。
そして、イングヴェイの凄いところは超絶技巧なギターテクだけではないことは予め言っておこう。ギタリストとして凄まじいのは言うまでもないが、楽曲自体が素晴らしく、作曲家・音楽家としても“その他大勢のギタリスト”とは一線を画している存在だと思う。
ギタープレイで世界を変えてしまった実力者・人気者であるがゆえ、賛否もあれば好き嫌いもはっきり割れてしまうのは仕方ないことかも知れない。
それでも、HR/HMに興味を持ったなら、ぜひとも聴いてみてほしいアーティストだ。
笑っちゃうほど凄いから。
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破壊力 | |
聴きやすさ | |
ギターテク |
エクストリーム 『ポルノグラフィティ』
1990年発表の2ndアルバム。全米No.1ヒットを記録したアコースティックソング『More Than Words』収録。
ハードロックにファンク要素を取り入れ、ヌーノ・ベッテンコート(G)の超絶プレイ(リフもソロもクレイジー!)を主軸にしたメロディアスな楽曲の数々を収録した今作は、間違いなくこの時代を代表するアルバムの一枚になった。
余談だが、パワフルに歌い上げるゲイリー・シェローン(Vo)は、1997年~1999年の期間にヴァン・ヘイレンのボーカリストとして活動していたが、この人が歌うとすべてがエクストリームの曲に聴こえてしまうほど、アクの強い歌声&スタイルを持っている。
ヘヴィメタル+ファンクから生まれた「ファンク・メタル」なるジャンルで括られたりもするエクストリームだが、どうせならそこに「ポップ」という言葉も付け加えた方がいい。
キャッチーな曲が満載、ファンク・ポップ・メタルバンドの大傑作。
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聴きやすさ | |
ギターテク |
オジー・オズボーン 『ノー・モア・ティアーズ』
1991年発表の6thアルバム。「メタルの帝王」オジー・オズボーンがザック・ワイルド(G)を迎え入れてから2作目となる作品。
オジーと言えばブラック・サバス後のソロワークにおいて、多くのギタリストと活動を共にしているが、僕は断トツにザック・ワイルド時代が好きだ。
ゴリゴリの重低音から繰り出されるリフ、トーン、ハーモニクス。どれも聴けばすぐにザックとわかる持ち前の特徴ばかりだが、これらの要素とオジーが歌う楽曲との相性は抜群にいい。
オジーは決して歌がうまいタイプのシンガーではないかも知れないが、妙に耳馴染みのいい声をしているので、メタル初心者でもかなり聴きやすいアルバムだと思う。
ハードなメタル曲から美しいバラードまでがバランスよく収録されたオジー史上最高傑作はこれ。
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聴きやすさ | |
ギターテク |
ミスター・ビッグ 『リーン・イントゥ・イット』
1991年発表の2ndアルバム。実力派のミュージシャンが組んだスーパーバンドで、日本での人気がとても高かった。
エクストリームと同じように、アコースティックナンバーの『To Be With You』が全米No.1に輝いている。
エリック・マーティン(Vo)のブルージーかつソウルフルな歌唱、超絶技巧が半端ないポール・ギルバート(G)とビリー・シーン(B)、インペリテリなどでも活躍していたパット・トーピー(Dr)という豪華なメンバーだが、このバンドの素晴らしいところは、あくまでも楽曲を大切にし、テクニカルなプレイは控えめにしていることかも知れない。
人気を決定付けたのはあくまでもメロディアスな楽曲であり、ハードロックを聴かない層にも多くのファンを生み出したのは純粋に凄いことだと思う。
超絶テクニックも存分に楽しめる、90年代を代表するHRアルバムの一枚。
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破壊力 | |
聴きやすさ | |
ギターテク |
パンテラ 『ヴァルガー・ディスプレイ・オブ・パワー』
1992年に発表したメジャー2作目。アルバムジャケットさながらに、ぶん殴られたような衝撃が凄まじいアンダーグラウンドなメタル作。
オープニング『Mouth For War』からしてヤバい。このバンドは今まで紹介してきたバンドとは空気感が違う。
ひたすらヘヴィなサウンドに乗せて歌うフィル・アンセルモ(Vo)の咆哮、今は亡きダイムバック・ダレル(G)のメタルセンスが炸裂するリフとソロの応酬。総じて激重なバンド・アンサンブル。
これまさに最強かつ最凶。
この作品によって「パンテラ以降」なる言葉が生まれたほど、世界に与えた衝撃と影響は計り知れない。
知らなくても生きていけるが、知ってしまうとパンテラなしでは生きられない。
ヘヴィメタルという大きな渦の中、避けては通れない最重要作の一つ。
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破壊力 | |
聴きやすさ | |
ギターテク |
モトリー・クルー 『ドクター・フィールグッド』
1989年発表の5thアルバム。モトリー・クルーはこのアルバムがピークだったが、全米アルバムチャートNo.1を獲得した名盤中の名盤となった。
けばけばしいルックスは今見ると時代の懐かしさを感じるが、楽曲はといえば今聴いても古臭さなんてない。ハードなナンバーからバラードまでが粒ぞろいで、とても聴きやすいアルバムになっている。
『Dr.Feelgood』『Kickstart My Heart』『Same Ol’ Situation (S.O.S.)』のようなこれぞモトリー・クルー!な曲ももちろん最高だが、このアルバムは何気にバラードの良さが際立っていて『Without You』や泣きのバラード『Don’t Go Away Mad (Just Go Away)』『Time For Change』にはこみ上げてくるものがある(涙)
現代のメタルバンドも頑張ってはいるが、この時代のモトリー・クルーのようにテンション上がる系のバンドも作品もだいぶ減ったな…。
胸を熱くするメロディアスなハードロックを聴きたければ、この作品を聴けば間違いない。
メタル度 | |
破壊力 | |
聴きやすさ | |
ギターテク |
ポイズン 『ネイティブ・タン』
1993年発表の4thアルバム。バカテクな凄腕ギタリスト「リッチー・コッツェン」が参加した唯一の作品で、ポップでキャッチーなポイズンの中では異質なアルバムといえる。
ブルースやゴスペル、ソウルといった味付けが多くリッチー・コッツェン色が強すぎるので、純粋なポイズンファンからすれば戸惑うような作品かも知れない。
しかし、アルバムの完成度は極めて高く、ハードな曲以外でも『Stand』をはじめとした数曲のバラードは全音楽ファンに届くような素晴らしい出来だし、何といってもコッツェンのギタープレイは胸を熱くする。
ハンパないテクニックで弾きまくり、メロディアス。ギター好きなら堪らないプレイが目白押しだ。
コッツェン推しのような物言いになってしまったが、文句なしに良曲だらけの大名盤。
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聴きやすさ | |
ギターテク |
エアロスミス 『ゲット・ア・グリップ』
1993年発表の11thアルバム。大・大・大ベテランバンドなので作品数も名盤も多いエアロスミスだが、中でもこの作品は頭ふたつは抜き出ている。
アメリカのバンドらしい痛快なまでのロックンロールと、エアロにしか作れないバラードの数々。静でも動でもパワフルに聴かせるバンド・アンサンブルは圧巻のひと言で、心揺さぶるナンバーばかり。
「捨て曲がない」とはこういうアルバムのことを指すのだろう。
『Eat the Rich』『Get a Grip』『Livin’ on the Edge』で炸裂するエアロ節、アルバム後半でたたみかける『Cryin’』『Crazy』『Amazing』に見る怒涛のバラード・ラッシュ。
個人的には今作のジョー・ペリー(G)のプレイは、リフもソロも神懸っていると思う。
ロックに目覚めたらまずは聴け。ずっと手元に残しておきたい永遠のマスターピース。
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ギターテク |
まとめ
・ジューダス・プリースト 『ペインキラー』
・メガデス 『ラスト・イン・ピース』
・アグリー・キッド・ジョー 『アメリカズ・リースト・ウォンテッド』
・ガンズ・アンド・ローゼス 『アペタイト・フォー・ディストラクション』
・イングヴェイ・マルムスティーン 『オデッセイ』
・エクストリーム 『ポルノグラフィティ』
・オジー・オズボーン 『ノー・モア・ティアーズ』
・ミスター・ビッグ 『リーン・イントゥ・イット』
・パンテラ 『ヴァルガー・ディスプレイ・オブ・パワー』
・モトリー・クルー 『ドクター・フィールグッド』
・ポイズン 『ネイティブ・タン』
・エアロスミス 『ゲット・ア・グリップ』
以上、HR/HMの入門編としてもおすすめなアルバム12選でした。