40代 男 派遣社員
2021年現在、派遣社員で働き始めてから約3年が経ちます。
派遣をやる前はおよそ25年間(転職回数/6回)正社員として働いてきました。最後に勤めた会社には15年ほどお世話になりましたが、メンタル面での衰弱もあり悩み抜いた末に退職。
本音を言えば、まさか自分が派遣社員をやるなんて夢にも思っていなかった、というのが正直なところですね…。
現在はいくつか運営しているブログでの収益化を目指しながら派遣社員として働いていますが、
「派遣社員って実際どうなの??」という方に向けて、正社員も派遣社員も経験してきた筆者がリアルな気持ちをお伝えしたいと思います。
ちなみに僕の職種はDTPオペレーター。デザイン系の仕事をすることもありますが、基本的にはクライアントの指示通りにデータをレイアウト、修正などをし、印刷物の制作をしていくお仕事です。
ひと口に派遣社員といってもあらゆる職種があり、ここでは「DTPオペレーター」としての経験談になるためすべての職業に通じる話ではないですが、派遣社員の本質的な部分に大きな変わりはないかと思います。
本記事では、
・正社員と派遣社員の違い
・派遣社員が「向いている人」「向いていない人」
について書いています。
昨今のコロナ禍の影響もあり、正社員であっても生活が守られる保証は一切ありません。
こんな時代だからこそ、あらゆる事態を考えておいた方が身のためで、働き方の選択肢は多いに越したことはないですよね。
現在進行形で派遣で働いている率直な感想として、正社員時代と比べても「派遣社員は全然アリ」という結論に達しています。
それぞれに生活スタイルがありますので「派遣がおすすめ!」という内容では一切ありませんが、派遣社員が気になる方はぜひ参考にしてみてください!
正社員と派遣社員の違い
まず、正社員と派遣社員が同じ企業で働く場合、決定的な違いを言えば「直接雇用」か「間接雇用」かということがあります。
直接雇用とは
勤務している企業と直接雇用契約を結んで仕事をすることで、その対価として給与をもらいます。また、労働契約に期間の定めがないことも特徴で、正社員はこちらに当たります。
間接雇用とは
勤務している企業とは異なる企業から給与をもらいます。正社員とは違い、ほとんどの場合は労働契約に期間の定めがあり、更新を繰り返して働きます。派遣社員はこちらに当たります。
しかし、実際に働いていると「直接雇用」「間接雇用」を常に意識するようなことはないです。
派遣社員は「派遣先」の職場の人との関わりが日常であって、「派遣元」に関して言えば、契約更新時や何か相談ごとなどがあった場合に担当営業の方と面談するくらい。仕事の内容も正社員と派遣社員で大きく変わることはないです。(職種や会社によって違いはあります)
また、以前は正社員と派遣社員の大きな違いの一つであった「交通費支給」の有無。
正社員は通勤交通費を支給されることが当たり前ですが、派遣社員はずっと自腹を切ってきました。しかし、現在では派遣社員でも交通費が支払われます。
2020年4月に施行された「働き方改革」によって、非正規雇用の社員やパートでも待遇面で大幅な見直しが行われ、交通費が支給されることになりました。雇用先によって異なる場合があるかも知れませんが、これはうれしい改正です。
「正社員と派遣社員の違い」という項ですが、交通費に関しては「違いがなくなったうれしいトピックの一つ」と言えますね。
給与について
次に給与面ですが、正社員は「月給制」であるのに対し、派遣社員の多くは「時給制」になります。(※無期雇用派遣の場合、月給制もあります)
しかし、時給制だからと言って派遣社員の給料が必ずしも低いと言うことはなく、時給額や残業の有無によっては決して悪くはないのです。職種にも左右されますが、稼ぎたければ残業が多い会社を希望してみるのも一つの手ですね。
しかし、派遣で働く以上しっかりと肝に銘じておくべきことは、「休みが多い月ほど給料が減る」ということ。勤務先の休暇スケジュールにもよりますが、ゴールデンウィークや年末年始の大型連休を、もはや単純に喜べないのが時給で働く派遣社員です。
たとえ同じような仕事をしていても、連休を心から喜べるのは正社員だけでしょう。正社員は月給制のため、出勤日数によって給料が変わらないので当然です。
しかし、派遣社員は出勤日数が減った分だけ給料も下がるため、手放しで喜べないのが本音ですね。
ただし、残業代に関してはフルで支給されるのが派遣社員の良いところです。時給で働いているため、働いた分だけ給料に反映されます。サービス残業などありません。
この点に関しては、残業代が出ない企業もある中で確実に守られる強みでもあります。
休暇について
派遣社員でも仕事を始めてから一定期間を経過すれば、有給休暇が発生します。これを消化することは法的に何の問題もないため、了承を得た上で計画的に消化すればいいと思いますが、正社員との大きな違いは「有給休暇しかない」ことです。
例えば身近な親族に不幸があったときの「忌引き休暇」、子供が生まれたときの「産前産後休暇」、耳にすることも多くなった「育児休暇」など、法定外休暇に当たる休暇は派遣社員にはありません。(正社員でも会社によっては取得するのは困難ですが…)
また、有給休暇とは別に「夏季休暇」を設けている会社も多く存在しますが、こちらも当然派遣社員にはありません。
ですので、年間を通じて計画的な休暇スケジュールを立てるだけではなく、健康管理にも気を配り、急に起こった有事のために有給休暇の残日数は気にしておいた方が賢明です。
正社員と派遣社員の大きな違いは他にもまだまだありますが、ここではこの2点に留めておきます。
ここからは本記事の本題である「派遣社員をやる前に知っておきたい向き・不向き」について、独自の目線でお伝えしたいと思います。
派遣社員が「向いている人」
アクティブにいろいろな経験を積みたい
派遣社員には契約期間があります。仕事によって長期・短期の契約があり、1カ月や3カ月の更新を繰り返します。
また、長期契約であっても基本的には同じ会社で3年間しか働けません。(無期雇用への切り替えをはじめ、いくつかの方法はあります)
そして、たとえ本人が続けたくても派遣先に更新をしてもらえない可能性はもちろんあります。正社員であれば、余程のことがない限り突然解雇を告げられることはありませんが、派遣社員は派遣先が契約を更新しなければ済む話。続けたいという希望が叶わなくても受け入れるしかありません。そして、早急に次の勤務先を探さなければなりませんよね。
こうした環境に常に置かれているのが派遣社員です。
しかし、新たな会社で働くということは、また新しい経験を積めるということ。状況に応じて嫌でも動かなくてはならない以上、常に心構えを持ち、前向きに、そしてアクティブに動ける人は派遣社員が向いている…、というより派遣社員でも充分やっていけます。
「評価制度」や「課題の取り組み」などが面倒
ある程度の規模の会社になると、たいてい「評価制度」や「課題(目標)への取り組み」があります。しかし、正当な評価への「不信感」や「不満」、日常の業務に追われながら上司との面談等によって取り組む「課題」などに、後ろ向きな人も多いのではないでしょうか。
これらは仕事をする上で大切なことではありますが、誰にでも重要なことかと言えばちょっと違うかな?というのが僕の認識でもあります。
「面倒だから」で片づけてしまってはいけませんが、こうした取り組みに気持ちが向かず、自分がやるべき仕事だけに集中したい人には派遣社員が合うでしょう。
良くも悪くも会社の取り組み(縛り)からは一線を置いて働くことができます。
会社行事の参加が苦手
新年会、忘年会、歓送迎会、壮行会、社員旅行、はたまた休日を返上して行われるイベントの数々。多かれ少なかれ、会社勤めをしていれば必ず参加することになる会社行事が苦手な人は多いと思います。
しかし、派遣社員はこうした行事への参加はなく、あったとしても極めて少ないです。もちろん派遣先の会社によりますが、強制的に参加させられる可能性は低いため、会社行事が苦手な人には派遣社員が向いているかも知れません。
逆に言えば、飲み会やイベントへの参加にまったく抵抗がないタイプの人だと、派遣社員という働き方に寂しさを感じる可能性があります。
副業をしたい
今では副業を認める企業も増加傾向にありますが、本業以外に収入を得る「副業」に対してまだまだ認めていない企業が多いのではないでしょうか。副業もして収入を増やしたい正社員にとっては、もどかしいことかも知れません。
逆に派遣社員の大半は副業が認められており、可能であれば「派遣社員の掛け持ち」だってOKです。とはいえ、限りある時間の中で本業も副業もこなしていくのは決して楽ではないはずですが…。
ただ、いざとなれば副業も視野に入れて働けることは派遣社員のメリットであり、生活を守る上でも大切なことだと思います。
もしかしたら、これからの時代に合った働き方の一つが、派遣社員なのかも知れません。
派遣社員が「向いていない人」
出世欲がある
残念ですが、派遣社員に出世という概念はありません。役職を持ち、部下を持ち、組織の中で成り上がっていきたい人には不向きと言えます。派遣社員に求められていること、やるべきことは他にあるため、出世を考えるなら選択肢から外すことが賢明です。
ボーナスが欲しい
基本的に派遣社員はボーナスがありません。たとえ正社員がボーナスを支給されていても、一緒に喜ぶことはできないのです。派遣社員という道を選ぶなら最初から理解しておくべき現実であり、納得した上で働く心構えが必要です。
仕事の評価を収入に反映したい
正社員でも派遣社員でも、目的や目標を持って働くことに変わりはないと思いますが、 “評価” に対する “対価“ について言えば、絶対的に正社員の方が有利です。仮に正社員より仕事ができたとしても、派遣社員が大きく報われることはないでしょう。
年功序列という風習がどんどん影を薄めていく現在、実力勝負で突き進みたいタイプの方には正社員の方が向いています。
派遣社員だって実力を発揮する場はいくらでもあります。しかし、仮に時給UPや正社員へのお誘いがあったとしても、派遣社員でいるうちはそれ以上のことは何もありません。
どんなに成果を上げても大幅な収入UPに繋げることが難しいため、こうした待遇にストレスを感じるようであれば、精神的に参ってしまうかも知れないです。
会社に貢献したい
「会社の繁栄を考え、会社のために知力を振り絞り、努力を惜しむことなく貢献したい」
例えば、こうした考えを持っている人が派遣社員で働くことはおすすめできません。
なぜなら、派遣社員が企業や所属部署の運営にまで関わる可能性は限りなくゼロに近く、そこまで求められていないのが現実です。
意見やアイデアを発表する場(会議など)への参加がまずないため、基本的には決められたレールの上で仕事をするだけ。そうした仕事環境に大きなストレスを抱える人もいるはずです。
やるべき仕事をきちんとこなすことが大前提かつ大切な役割なので、それ以上の目標意識が高い人ほど思い悩んでしまう可能性があります。
あとがき
正社員を経験したあとに派遣社員をやってみると、意外にも働きやすさや心地良さを感じることがあります。それは人間関係しかり、仕事内容しかり。
その理由の一つは、正社員と派遣社員の間には「お互いが一線を置いている」微妙な距離感があるからかも知れません。上手く表現できない感覚的なものですが、双方を繋げているのはあくまでも「仕事」であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
そして、もう一つ実感していること。
それは、いかなる状況になったとしても身を助けてくれるのは「専門的知識と技術」です。
どんな仕事でも「一定水準以上のスキル」を身に付けておくことが本当に大切で、派遣社員で渡り歩くためにはとても必要なことになります。仮に正社員であっても「今やっている仕事は、どこに行っても通用するものなのか」という視点は持っておいた方がいいです。
未経験OKな仕事もありますが、基本的に派遣社員は「仕事レベルの経験値」と「即戦力」になる人材が求められます。1から10まで教えてもらえることはありません。
ちょっと脱線してしまいましたが、派遣社員の「向き」「不向き」でした。
参考にしていただけたら何よりです。