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【本当のこわい話】 今でも忘れられない不思議な体験談 【全3話】

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心霊体験というべきか否か

これまでの人生で3度ほど体験したことがある不思議な出来事。

今でも忘れられない真夜中のこと。

最後の体験から20年以上が経った今、

ぜひ、あなたにも聞いてみてほしい…。

 

フクコ
フクコ
ちょっと!ずいぶんとおどろおどろしいわねぇ
フクロー
フクロー
う、うん。恐い話とか苦手なんだけどなぁ

 

【第1話】知らぬ女の声

あれは僕がまだ10歳だった頃のこと。

当時は2つ上の姉と同じ部屋で、寝るときは2段ベッドの上と下。

姉が下で僕が上だった。

その夜の僕は寝付きが悪く、眠っているのかいないのか、

よくわからないまま時間だけが過ぎていく。

何時なのかは分からない。

だけど、僕と姉が寝ている部屋のドアをノックする音が聞こえた。

 

トントン…。 トントントン…。

 

「??」

 

ビビった。

子供ながらにその状況を考える。

だって普通に考えてみてどうだろう。

小学生の子供の部屋を、しかも真夜中に、親がノックをするわけがない。

 

「何なの?」「誰??」

 

恐怖に怯えながら、様子を伺う。

少ししてまたノックの音が聞こえてきた。

 

トントン…。 トントントン…。

「だ…れか…、い…ますか……」

 

女の声。ゆっくりとした口調。

母親とは違う、聞いたことなどない知らぬ女の声。

どう考えてもおかしい。

だいたい真夜中にそんなことをする母親なんているわけがない。

いたら嫌な親だ。

 

そう考えたら恐怖のあまり声も出ない。

姉はたぶん、普通に寝ている。

僕の恐怖なんて知ることもなく、きっと夢を見ている。

 

もう、どうすればいいのか分からない。

ただただ怖くて、怯えて、布団を頭までかぶって震えてた。

ごめんなさい…、ごめんなさい…

わけも分からず頭の中で謝りつづけ、気がつけばもう朝だった。

布団は頭までスッポリかぶってた。

 

あれはいったい何だったのか。

今でも忘れることができない。

 

 

フクロー
フクロー
お、おいおい、やべーよ、それ
フクコ
フクコ
え、えぇ、たしかにそれが母親だったら嫌よねぇ

 

 

【第2話】カ ナ シ バ リ

僕は23~24歳の頃、金縛りにあうことがよくあった。

当時はポストプロダクション(映像編集の会社)に勤めていて、仕事がら夜遅くまで働くことが多く、徹夜で仕事をこなすこともあった。

本当に忙しくなると会社で寝泊まりし、3日くらい家に帰れない。

でも、やりたい仕事をやっている充実感があったから、そこに不満はなかった。

 

カラダは疲れてた。

若いからといって乗り切れるもんでもない。

 

そんなとき、頻繁に金縛りにあうようになった。

 

でも、金縛りの原因でよく聞く話があったから、恐怖は感じてなかった。

レム睡眠中。カラダは休息しているのに、脳は反覚醒状態。

 

不規則な生活が続き、疲れもストレスも溜まっていたので、

「あっ!またか。」くらいなもん。

ホントこんな感じ。

初めこそ恐怖心はあったけど、慣れれば全然大丈夫。

そんな日が続いていたある日、また金縛りにあった。

 

またかよ…。

 

でも、いつもと様子が違うことに違和感を覚えた。

妙な息苦しさもあったから、少し怖い。

 

早く動いてくれ、カラダ。

 

しばらくすると、その違和感は現実のものになってあらわれた。

肩まで掛けていた布団の首元あたりが、

右から左へゆっくりヘコんでいく。

 

ペコ。  ペコ。  ペコ。

 

何かがゆっくり歩いていく感じ。

 

恐い。

 

声は出ない。

 

しめつけられるような息苦しさ。

 

声を出したら危ないという直感もあった。

絶対に目を開けたくない。

 

ペコ。  ペコ。  ペコ。

 

結局、この横切っていくような感覚は一度だけ。

戻ってくることはなかった。

 

どれくらいの時間が経ったのか。

やがてカラダは動くようになり、恐る恐る目を開けた。

いつもと変わらない自分の部屋の中。

時計の針の音だけが聞こえてた。

 

あれは一体なんだったんだろう。

 

 

フクロー
フクロー
うん。恐いね。もう嫌だから帰る
フクコ
フクコ
ちょ、ちょっと!一人だけズルいわよ!あと一話なんだから聞いていきなさい!

 

 

【第3話】嘘の罪

 

これもまだ、ポストプロダクションに勤めていた頃の話。

 

その日の夜は同期メンバーでの飲み会があった。

同期は22名。ほとんどの人が出席できたこともあり、とても楽しい夜を過ごしてた。

仕事の悩み、愚痴、他愛もないくだらない話。

同期だけの集まりだから気も使わず楽しめる、開放的な時間。

 

スタートが遅かったこともあり、一次会が終わる頃にはもう23時をまわってた。

早い人だと終電に乗り込まないと帰れなくなる時間だ。

誰もが気持ちよく酔っぱらっている。当然のように2次会の話になる。

結果、およそ半分の10名程で2次会へ。今日は朝までコースだ。

 

2次会のお店までは考えてなかったので、歩きながら探してた。

しばらくすると、オープンテラスのお洒落なお店を発見。

暖かい季節だったから、外でも問題はない。

10名くらいは座れる席があったので、そのお店で飲み直すことになった。

 

「カンパーイ!」

本日2度目の乾杯だ。しばらく雑談が続く。

 

僕は通りが見える側の席に座っていて、通りの向こう側の上の方が墓地になっていることに気が付いた。

 

「へ~、こんなところにお墓なんてあったんだ」

 

たいして気にもせず飲んでたが、ふと、あるジョーダンを思いついた。

自分の対面には男が3人。こいつらをビビらせてやる。

始めた。

 

「ちょっとちょっと! ちょっとシッ! ちょっと静かにして!」

会話が弾んでいる中、声をかける。

「何?どした?」

視線が僕に集まる。

「あのさ、向こうにお墓があるねって話をさっきしてたじゃん?」

「なんかさ、上におばあちゃんみたいな人がいるんだけどさ、おかしくない?」

「えーーー!? 何それ、嘘だろ? おかしいじゃん?だってもう2時過ぎてるよ」

一人が振り返ろうとした。

「あーー!ダメダメ!見ちゃダメだって! あのおばあちゃんさ、ちょっと怪しいよ。さっきからずっとこっち見てるし、なんか怖いわ。見ない方がいいよ」

振り返らないように制止する。

もうちょっとビビらせてやろうと思った。

「なんでだよ!嘘言ってんじゃねえよ」

一人がまた振り返ろうする。

「やめとけって!こんな時間にやっぱりおかしいよ。ちょっと笑ってるよ。ヤバいよ!マジで。」

「うるせーな!見せろよ!」

もう言うことなんて聞かない。

一人が振り返った。

と同時に僕は言った。

 

「馬鹿!ババアが見てるからやめろって!!」

 

ゴトっ

 

「へ?」

 

テーブルの上に僕がつけていた腕時計が落ちた。

 

そして、その時計を見て僕は血の気が引いた。

つけていた時計はダイバーズウォッチでベルトは分厚く、自然に切れるようなものではないはず。なのに、刃物で切ったかのようにベルトがスパッと切れてた。

(なんだよ…、これ。)

酔いは一気に冷め、本当の意味でのヤバさを感じた。同期たちも驚いている。

 

これは怒られてる。これはバチだ。

俺は今、とんでもないことをやらかしたんだ。

 

僕が話してたおばあちゃんなんて、もちろん全て嘘。

見えてるわけがない。

酔っぱらって、ただただみんなをビビらせようとして言った嘘。

それなのに「ババアが見てるからやめろ!!」といった瞬間に時計が落ちた。

 

自分の身に何が起こったのか。

 

もしかしたらすべては偶然が重なっただけなのかも知れない。

時計のベルトはもともと切れる寸前で、冗談で声を上げた瞬間にたまたま落ちただけ。

でも、そんなことってあるんだろうか? 時計のベルトが瞬時に切れることなんて。

 

これは本当に深く反省した。

悪ふざけでもやって良いことと悪いことがある。

少なくともお墓のような場所をネタに、冗談なんか言うべきじゃない。

 

結局、ビビらせようとふざけていた僕自身が、一番ビビった。

 

今でも真相はわからない。

ただ、時計のベルトが切れたことだけは事実だ。

 

同じような悪ふざけは2度としない。

 

 

 

フクコ
フクコ
…。帰るべきだったわねぇ
フクロー
フクロー
だから言ったのに…。もう一人じゃ寝れねっす

 

 

あとがき

すべて実話であり、最後のできごと以降、怖い体験はしていない。

別に霊感が強いわけでも、この目で何かを見たわけでもないが、説明できないこの不可思議な体験をどう考えればいいのか。

願わくば、2度と体験したくないものである。

 

 

フクロー
フクロー
シリアスだねぇ。最後くらい明るい口調で終わりなよ…。
フクコ
フクコ
はぁ…。聞かなきゃ良かったわねぇ