40代・男・派遣社員
現在進行形の筆者のことです。
僕は4年前に15年間勤めていた会社を辞めて、現在は派遣社員で働いています。
職種はDTPオペレーター。知らない人には?マークな仕事だと思いますが、すごく簡単に言えばインデザイン・イラストレーター・フォトショップなどのソフトを使って紙媒体のデータを作成するお仕事です。
正社員の頃とは違い、給料は完全に時給制になりますので、年末年始や祝日が多い月、また、残業が少ない月などはあからさまに収入に影響します。
もちろんボーナスなんてないです(涙)。現在の仕事には年間の中で繁忙期と閑散期があるので、毎月の給料にはかなりバラツキがあります。
しかも、以前は通勤交通費が自腹だったため(筆者の場合、月19,000円ほど)、およそ1日半にあたる労働賃金が仕事にいくための交通費として消えていました(哀)。交通費が支給される正社員のメリットをつくづく感じたものです。
2020年4月に施行された「働き方改革」によって、非正規雇用の社員やパートでも待遇面で大幅な見直しが行われたため、交通費が支給されることになりました。雇用先によって異なる場合もあるかも知れませんが、これはうれしい改正です。
余談ですが、前職での給料はサラリーマンの平均年収をかなり上回っていたので、はっきり言って年収は激減しました。
生活も見直すことになり、家族にはすごく申し訳ないと思っています。
理由はいくつかありますが「心身ともに限界をむかえてしまった」ことが大きな理由としてあります。早い話、心が病んじゃったんですね。それをきっかけにこれから先のことを真剣に考えるようになりました。
そして、自問自答を続けた結果、「この会社じゃなきゃダメな理由」も見つけられませんでした。15年間もお世話になった会社なので感謝の気持ちはありますが、「精神的苦痛を耐え続けてまでいる理由もない」という結論に達しました。
仮に定年まであと20年あると考えた場合、まだまだ先は長い…。
先のことを改めて考えてみると「このままではいけない」という気持ちの方が強く、年齢に捉われることでもないのかなと。
あと20年も働くなら、まだまだチャンスも時間もあるはず!
イヤイヤ過ごす20年より、前向きに過ごせる20年を過ごしたい。
大そうなこと言ってますけど、お金の面だけを考えれば辞めずにいた方が良かったです。
でも、自分が壊れてしまったらそこでゲームオーバーなんですよね。
そうなる前に僕は辞めました。そして、後悔は一切していません。
はたして40代の転職ってどうなんでしょうか。
辞めるのは簡単です。
でも、その後に待ち受ける現実を少しでも知っておくことで、もう一度考え直してみることも大切です。
ここでは、かつての僕と同じように「仕事を辞めたいけどなかなか辞められない40代」の方に向けて、辞める前に知っておいてほしい「現実」をお伝えしたいと思います。
会社を辞めたらやらなければならないこと
在職中に次の就職先が決まっていれば良いですが、あてもなく仕事を辞めると思いのほか「やること」が多いです。
・ハローワークへの申請手続き
・就職活動をするための「履歴書」「職務経歴書」、職種によってはキャリアを売り込むための作品準備など
・40代らしい受け答えを想定した面接の準備
就職活動をする大前提として、まずはこうしたことをやることになります。
就職活動をどのように行うかは個人によりますが、転職サイトや派遣会社への登録も進めていくことが必要です。
実際、厳しいとか言ってられません。
40歳を過ぎて転職活動をすることは、大きなプレッシャーが伴うことは間違いないです。そして新卒や20代の若手とは違い、採用する側からすればあらゆる意味で慎重にならざるを得ない人材になります。
しかし若者にはない経験値があるはずなので、売り込むチャンスはいくらでもあるはず!
本当に辞める決心をしたときは、気負わずに行動に移していきましょう。
「辞めたい理由」と「辞められない理由」 どちらも考えてみよう
40代の転職には大きなリスクがともないます。
独立(フリーランス)を目指しているなら話はまた違いますが、40代が正社員として転職を考えるなら「自分を売り込むキャリアと能力」を持って臨まない限り、なかなか相手にはされません。書類選考を通すことさえ困難を極めるでしょう。
相当厳しい現実が待ち受けています。
職種によっては未経験OKな仕事もありますが、一からのスタートでやりたくないことを始めても長続きしない可能性が高いため、今までのキャリアを継続したいなら「即戦力+α」を期待されていることは肝に銘じておいた方がいいです。
当たり前ですが「新人」の意味が違います。
新卒や20代、30代前半の就職活動とはまったく異なりますので、仕事が見つからないという最悪のシナリオも想定しておいた方が賢明です。もしそうなってしまった場合のいくつかの手段も考えておくべきですね。
それでも転職を考えるなら、まずは「辞めたい理由」と「辞められない理由」を具体的に書き出してみることをおすすめします。
なぜ、自分は今の仕事(会社)を辞めたいのか。
頭の中のモヤモヤは、考えているだけではハッキリもスッキリもしません。
あらためて文字にしてみることで、たとえば感情的になっていた部分に対して落ち着きを取り戻し、冷静な目線で自分を見つめ直すことができるかも知れません。
以下に考えられる仕事の悩みをいくつか挙げてみます。
辞めたい理由
人間関係 | ・反りの合わない上司・同僚・部下 ・なじめない社風 |
収入 | ・上がらない給料 ・もっと稼ぎたい願望 |
残業 | ・肉体的にもつらい超過労働 ・手当なし |
評価制度 | ・基準があいまいで理不尽な評価 |
独立 | ・サラリーマンに対する限界 ・起業したい |
将来への不安 | ・倒産やリストラに対する不安 ・キャリアに対する不安 |
仕事内容 | ・やりがいがない ・モチベーションの低下 |
ハラスメント | ・耐え難い屈辱 ・ガマンするしかない環境 |
体力 | ・若い頃には感じなかった肉体的な衰え |
辞められない理由
生活費の不安 | ・家賃または住宅ローン ・子供の教育費 ・生活にかかるさまざまなランニングコスト ・将来の貯蓄 |
手に職がない | ・資格がない ・スキル不足に対する不安 |
給料 | ・転職後に今の給料を維持できるのか ・現状維持ならありがたく、下がる可能性の方が大きい |
転職後の不安 | ・転職した先が今よりいいとは限らない ・今までのキャリアが通じるか心配 |
やりたいことがない | ・現実を変えたいが、他にやりたいこともない |
転職活動する時間がない | ・動きたくても活動できる余裕がない |
一例に過ぎませんが、当てはまることはあると思います。
辞めたい理由には「感情的な要素が多い」ですが、
辞められない理由にあるのは「リアルな現実」ばかりです。
仕事に対する思いに優先順位をつけてみる
40代にもなれば、仕事に対する優先順位など悠長なことは言ってられないかも知れません。
生活のために働くのは当然のこととして、それ以外に「ここだけはゆずれない」と思うことはありますか?
仕事をする上で自分が大切に思っていることです。
例えば「好きなこと・やりたいことを仕事にしたい」「社会や誰かの役に立ちたい」「人間関係が良い会社で働きたい」「週休2日は絶対条件」「何よりもお金」「正社員じゃなきゃ不安」、もっとざっくりと「楽しいか楽しくないか」など、何かしらあると思います。
もし今いる会社が「ここだけはゆずれない」と思うことに対して何一つ満たしていないのなら、それは辞めてもいい会社です。
真剣に今後のことを考えた方が身のためかも知れません。
逆に一つでも満足できるものがあるなら、簡単に辞めてしまうのは危険です。
なぜなら、移った先が理想的な職場である保証は一切なく「前の方がまだマシだった」と後悔してしまったときの絶望感ったらありません。
どこで働くにしても自分の仕事観に何か一つでも筋を通しておかなければ、続けられない理由をすべて “自分以外” のせいにしてしまいます。
自分が思う仕事観の中で満たしていることがあるのなら、逆に辞めたい理由のひとつやふたつをガマンする忍耐力も持たないと、きっとどこへ行っても同じです。
転職回数が多い僕のような人間こそが、肝に銘じておかなければならないことなのですが…。
あなたのスキルはどこへ行っても通用しますか?
40代と言えば、新卒で入社してずっと同じ会社に勤めていれば20年以上のキャリア、中途入社であっても5~10年ほどは過ぎている世代ではないでしょうか。
これまでも社会の中でいろいろな経験をされているかと思います。
では、ここで質問です。
身に付けてきたスキルは他の会社でも通用する自信がありますか?
こんな上から目線の発言に嫌悪感を抱いたなら申し訳ないです。
でも、これってすごく真剣に考えてみるべきことなんですよ。
同じ会社にいる間はさほど気にする必要はないですが、いざ会社が変われば「似て非なる仕事」になることが多々あります。
同じような業種でも、会社によってやってることは違うもの。
一例を挙げてみますが、長年勤めていることで築いてきた「人間関係」あってこそ成り立っているような職種の場合、それは一歩外に出た時点で成立しません。
転職=人間関係は一からのスタートになるため、必要なのはもっと別なスキルになります。
40代以上の人材に求められていることは「即戦力+α」の能力なので、転職した最初のころから「そんなことも分からないのか…」という見方をされることは極力避けたいですよね。
そうならないために「自分の仕事に関係する情報収集」は日々意識しておいた方がいいと思います。古いシステムや考え方で突き進んでいる会社って結構あるはずなので、こればかりは個人の努力が必要になってきます。
これは過去の転職経験と、現在派遣社員をやってみて痛烈に感じていることです。
転職を考えるなら、こうしたことも含めて気を引き締めたいですね。
あとがき
僕は前職を辞めたあとに正社員を目指して就職活動をしたのは1社だけです。
正確には「面接まで行った」のが1社だけ。なんとなく応募してみたのが5社程度です。
なぜ大して就職活動をしなかったのか。
それは、正社員にこだわる理由を特に見つけられなかったからですね。働き方(収入を得る手段)の選択肢は昔と変わってきましたし、前職を大きく下回る給料でリスタートするくらいなら、もっと違う道を探したい。
ヘッドハンティングをされるほどの実力がない限り、前職ほどの給料を維持するのは無理だと気づいたからです。
そんな結論に達してしまったので、現在は収益化を目指したブログ運営を行いながら派遣社員をやっています。ちなみに誤解のないように記しておきますが、派遣社員なら誰でも出来るというものでもありません。
即戦力という意味で言うと、職種によっては派遣社員のハードルは高いと感じています。正社員よりシビアに見られる傾向がありますので、仕事ができなければ契約更新をしてもらえず、また次の派遣先を探すことになります。これはこれで精神的に参るものです…。
揺るぎない目的や目標があって転職するなら、たとえ40代でも可能性は充分にあると思いますが、現状に何かしらの不満があって “何となく辞めたい” というだけでは、厳しい現実しか待っていないと思います。
どんな結果も受け入れる覚悟で飛び出すことはアリですが、
決心がつかず迷っている間は、“決心がつく” までとことん考えてみるべきだと思います。
辞めてしまったらどんなに後悔しても後戻りはできません。それくらい、40代の転職はリスクが高いということを知っておいてください。
リスクを乗り越えて人生が上向くかどうかは全て自分次第です。
それでも新たな一歩を踏み出す同士を、僕は応援しています。