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センセーショナルな名作映画『ジョーカー』を観て

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「ジョーカー」

この作品を観る以前に、そもそも僕はバットマンシリーズを観たことがない。

ただの一度も。

興味がなかったと言えばそれまでですが、話題性も手伝い、今作『ジョーカー』がバットマン関連で初めて観た映画になった。

結論。面白かった。すごく。

陰鬱な内容ではあったけど、素晴らしい映画を観たという感覚がカラダの中に残ってる。映画をレンタルして一日と置かず2度見したのは初めてかも知れない。出来れば映画館に足を運び、大スクリーンで鑑賞したかった。

間違いなく近年観た映画の中で、ベストといえる作品でした。

 

概要

「バットマン」の悪役として広く知られるジョーカーの誕生秘話を、ホアキン・フェニックス主演&トッド・フィリップス監督で映画化。

道化師のメイクを施し、恐るべき狂気で人々を恐怖に陥れる悪のカリスマが、いかにして誕生したのか。原作のDCコミックスにはない映画オリジナルのストーリーで描く。

第79回ベネチア国際映画祭で、DCコミックスの映画作品としては史上初めて最高賞の金獅子賞を受賞して大きな注目を集め、第92回アカデミー賞でも作品賞ほか11部門でノミネートされ、主演男優賞と作曲賞を受賞した。(「映画.com」解説より引用 )

原題Joker
監督トッド・フィリップス
脚本トッド・フィリップス、スコット・シルヴァー
製作国/公開アメリカ/2019年10月4日
主な出演者ホアキン・フェニックス
ロバート・デ・ニーロ
ザジー・ビーツ
フランセス・コンロイ

 

感想

この映画の特筆すべきところは、何と言ってもアーサー(ジョーカー)を演じたホアキン・フェニックスの素晴らしさにあると思う。喜怒哀楽といった感情の延長線上で見せる、胸を打つような数々の演技からは本当に目が離せなかった。

ラストでは暗く重い印象が残る反面、どこかスカッとするような感情も芽生えた。

誰にも認めてもらえなかった人間が突如、救世主のごとく大衆から祭り上げられ、不満を爆発させた同士たちの象徴として迎えられている。

ここに来るまでの間、たしかにアーサーは何度かの殺人を犯してきたし、紛れもない犯罪者だ。罪を償うべきであり裁かれる人間なのは間違いない。

しかし、果たしてジョーカーという存在は悪人なのだろうか。

まだ観ていない人のためにストーリーの詳細には触れないようにポイントを挙げてみたい。

・第1の犯罪

発作的に笑いだしてしまう持病があるアーサー。その病をきっかけに3人の男たちに絡まれる。理不尽な暴行を受けたアーサーは反射的に発砲し殺害。

・第2の犯罪

自身の過去を知ったアーサーが人生に絶望し、病床につく母親のペニーを窒息死させる。

・第3の犯罪

出演した番組の生放送中に司会者であるマレー・フランクリンを射殺。

ここだけを抜き出してみると完全に悪人だ。

しかし、こうした行動に出るまでには相応の過程があり、同情してしまう人生のストーリーがある。精神的な問題、貧困、裏切り、社会格差から生まれる憎悪と狂気。

今作がR15指定になっているのは、どんな理由であれ犯罪者をヒーローのように見立てる描写には、危険性がともなうからなんだと思う。

これから観る人もいると思うので細かいことは書かないが、少なくとも第1の犯罪のシーンは絡んでいった人たちにこそ問題がある。あんなことで集団暴行を働く人間の心理の方が、よほど恐い。

純粋にコメディアンになることを夢見ていたアーサーが道を踏み外してしまったのは、周囲にいた人間と生活環境に恵まれなかったせいもある。

もしも良き理解者や話し相手が一人でもいたら、ジョーカーのような存在は生まれなかったかも知れない。

少なくともこの作品のジョーカーは真の悪人ではないし、救えたはずだと思う。

 

おかしなことが多い世の中で、何とも考えさせられる映画だった。

百聞は一見に如かず。

ヴィジュアルも音楽も素晴らしい作品なので、まだ観ていない方は是非ご覧あれ。

 

印象的な不滅のメロディ『That’s Life』

 

 

あとがき

冒頭でバットマンシリーズを観たことがないと書きましたが、実は今作を観た後すぐにバットマンの1作目は観ました。その後のジョーカーのことが気になったので。

1作目が公開されたのは1989年。30年以上前の作品のため映像や演出の古さは否めず、今回観たジョーカー以降の世界としては楽しめなかったです。

何より『ジョーカー』は人間社会の中で個人が抱える葛藤を痛々しく描いたヒューマン・ドラマだったのに対して、『バットマン』でのジョーカーは「ただの極悪非道な悪党」に様変わりしていた。「ヒャッハー!」状態。

『バットマン』のジョーカーが『ジョーカー』のジョーカーと同一人物なのか…。

映画オリジナルのストーリーとは言え、ちょっとかけ離れている気がした。

 

映画『ジョーカー』は単独の作品として楽しむのがベストだと、にわかファンの素直な感想を記して終わりにします。

 

最後に。

劇中のホアキン・フェニックスがスーパー・ギタリスト「スティーブ・ヴァイ」に見えたのは、私だけでしょうか。

 

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